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The Story of 100 Dragons 2 [空想冒険小説]

(岸辺にて)続き  (WEBで更新しています。)サムネイルをCLIK!                                           


「むう………」小山のようなドラゴンの背が大きく延びをするように立ちあがる。


「懲りぬな」ドラゴンの吐く深い唸りが愁いを含んでブラムの耳に響く。


「一つ、二つ、………四つまだまだおる。多いぞブラム。」


「ナーダ達は『妖女』が滅んだ後も呪命を忘れぬ輩らしいな。」


呟きながらブラムはゆっくり立ち上がる。樽のように太く逞しい体躯が、太い筋肉の束を寄り合わせたような両足に支えられて立った。ブラムの身長は2メートルを超している。ゆったりとした動作で左の腰に下がった鞘からスルリと剣が引き抜かれる。長く、刃肉の厚い、重い大剣である。尋常のものが扱える剣の長さ、重さ、太さではない。月の光も死に絶えた闇(やみわだ)に剣自身が放つような青白い閃光がその剣先まで走った。


「ユリウス、空へ!」ブラムが声に出す前にドラゴンは砂塵を巻きながらその巨体を闇空に舞い上げた。


同時にブラムの体は自分の背後に向かって滑らかに回転し、その鬼神のような動きにやや遅れた太刀筋が闇を横殴りに大きく切り裂いた。


ひぎっ! 生き物の、禍々しい苦鳴があがり、炎に照らされて浮き上がった異様な『人』形の魔物が胴から腐臭をまき散らしながら、炎の上に、どう、と倒れた。ボン………と火の粉が舞い上がり、上下に切り離された魔物の体が炎の中でのたうつ。


ブラムの動きは止まらず、回転した軸足をそのままに片足を前に踏み出すと同時に剣が青白い閃光を残して左右に閃いた。一合の音もない。ただ、切れ味の鋭い刃物が闇から湧いた魔物の襲撃を交わすと同時に斬って捨てる。


闇の中に乾いた埃と砂塵の匂いをまき散らしながら倒れる魔物の背後にもう次の巨体が大きく腕を広げ、襲いかかろうとする気配がある。


しゅるしゅる………と伸びた犬歯の間から息が抜けるような呻きとも唸りともとれぬ音を吐きながら蟠った黒い巨体が7つ同時にブラムに向けて跳んだ。


「むうッ…」上下に2つの塊が左右に広がりながらブラムの周囲をふさぐように襲いかかるこれまではなかった秩序だった動きに、一瞬すべての個体の気配を捉え遅れた。背後の敵を切り捨てたブラムの首筋に、チリチリと殺気が刺さり、ぞくりと肌が粟立つ。


ぶつん………。生肉を生きたまま筋や骨ごと一気に断つ音が唐突に聞こえ、一瞬で殺気が消えた。ざあッ…とブラムの顔面になま暖かい魔物の体液が降り注いだ。素早く背後に跳んだブラムの頭に声が響く。


陽の光の中であれば赤黒い体液を全身に浴び、にやりと唇を歪め笑みを浮かべるブラムの顔は、見るものに凄絶な印象を与えたに違いない。


「油断はならぬぞブラムよ。」一度空に舞い上がったドラゴンがブラムに向けて跳びかかった7体の魔物をその鋭い爪先で横殴りに薙いだのだ。


闇の中で『人』と『竜』は感応し、瞬時に互いの位置を確認した。


 


「跳べ」ドラゴンの声がブラムの頭に響くと同時にブラムは踏みしめた岩を蹴り、中空へ跳んだ。目標を失った魔物達の動きが一瞬止まった。ブラムの体は跳び上がったまま地上に落ちることなく、巨大な『竜=ドラゴン』の背に落ちた。


「居心地が悪いな」


「乗せ心地もようないわ」


一本一本が細い鞭のようにしなる『竜=ユリウス』の頸の体毛を束にして掴んだブラムと巨竜は悪態を交わしながら、闇の空高く舞い上がった。


「俺を焼くなよ。」


ユリウスが長く太い頸を後ろに引き、大きく大気を吸い込む気配に、ブラムはその首筋に掴まったままとぼけた口調で独り言のように言った。


その刹那、巨竜はその顎を大きく開き、闇を吸い込んで練り上げた呼気を紅蓮の炎に変え、さっきまでブラムが戦っていた焚き火のあたりに叩きつけた。


ゴオッ、という音とともに巨大な下級が大地に炸裂し、それは一瞬で数十メートルの範囲を焼き尽くした。


異形の魔物達が苦鳴のひしりを上げる声も呆気なくかき消された。大地に跳ね返った根木が闇空に浮かんだ巨竜にも届いた。生き物の焦げる匂いが濃く吹き上げ、岩が熔け、砂の焼ける音がパチパチと聞こえる。そこに残ったものは炭化した魔物達のおびただしい数の骸であった。


「おお…凄いものだな。手加減なしか。」呆気にとられたようなブラムの声に、『竜=ユリウス』は穏やかだがどことなく怒気を帯びた声で応えた。


「なに、守るものがない大地の上に向けて、何の手加減が要ろうか。友よ。最早、お主の他にこの星に儂が守るべきものは何一つない。」





うーむ、Brogでこのまま続けるのはチット苦しい。すごく長くなりそうだ。書きためていたものを一気に吐き出せない。
 続きに興味のある方は

 ここで一読下さい。6/26魔窟1を追加

 


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