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超絶の裏方 [Special]



広くアニメというジャンルだけでなく、写実的要素を持った日本画としての存在価値すら主張するヒーローの居ない画集。
最近の漫画を見ていて思うのは背景を1人で描けるプロが居なくなりつつあると言うこと。
人気漫画家である方が、まるで一頃の少女漫画のように主人公達に比していかにも貧弱な背景しか描けない。
主人公が闘う場所はいつも瓦礫と破壊された建物跡の空き地、砂漠、設定はいつも主人公のみに焦点が当り、かき込むというディティールが極めてお粗末。無茶苦茶なボクシング漫画で人気を博された今やもう大御所のなんとかだ正美氏。
相変わらずめちゃくちゃ。
リアリティのなさと研究の不足があからさまに目立つ。
その地平を眺めていると本来同じところに見えるはずのこの画集がもの凄まじいリアリティを以て圧倒する。
一枚の葉を描くのにいったい何色の緑が使われているのか?
呆然となる作業はボタニカル・アートの分野を征服し、風景としての一幅の絵として抜群の説得力を持つ。
その上をもののけ姫が走り、タヌキが躍り、千と千尋の湯谷の伽藍が聳え、ハウルの城が動く。
それがなければ、主人公は力無くその場に佇むしかない。
背景は力であり、ストーリーを動かす瞠目すべき力量を秘めて迫ってくる。
恐るべし男鹿和雄の世界。
志すところにこの世界が近ければ、何をおいても手に入れるべき一冊。


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