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One's Boyhood story-34(24)空飛ぶCD [One's Boyhood story]

[夜] これは、このシリーズでボクの野性のような子供時代とその意外にも平均的なわが子達の思い出を綴った記事でした。ソネブロの2007年のリニューアルの大惨事に移し損なった記事の残りです。


久しぶりでちょっと昔買ったCDを取り出して聴こうと思い、シューベルトのいくつかのソナタの入ったブレンデルのCDを車に持ち込んだ。
ところが凄いエラーで音がとぎれ、全く聴けない。
「ありゃ?」っていう感じでプレーヤーから取り出してみて驚いた鏡面側がギザギザに傷ついているではないか。
「何だ、これは!」…と瞬間的に沸騰しそうになって、はた…と思いだした。
それは息子と娘の幼稚園時代の仕業であった。
ボクは当時、町の教職員住宅がある近くに住んでおり、子供達は良くこの駐車場で遊んだのだが、その駐車場の前に近くの幼稚園(ボクの子供が通っていたのとは違うけれど)がよく使用するいも畑があって、その中に入って紙のお皿で作ったフリスビーを飛ばしていたことがあった。
市販のプラスティックは危険なので、ボクが紙のお皿を二つテープで重ね、その一方を縁を少し残して円形に切り取って作った非常に安全な使い捨てフリスビーだった。
子供達は熱心に遊んでいたが、何かの拍子に壊れたのだろうね。
ボクは仕事で出かけていたので替わりを作ってあげられなかった。
そこで息子達はボクの部屋に入り、色々書棚を物色し、CDラックからCDを取り出したのだった。
銀色に光る円形の板はキラキラと飛んでゆきそうで、彼らはワクワクしてケースから取り出したCD12-3枚を抱えて、表に飛び出していったのだという。
面白かったんだろうね。
食事の時に遅く帰ってきたボクに向かって「パパのUFOがきれいに飛んだよ」とキラキラして遊びに憑かれた子供の目つきでボクにしきりに話しかけてきた。
何のことだか分からず、その時はいい加減に返事していたが、二階に上がって驚いた。
フロアにCDのケースが散乱し、アバドのマーラーやベートーヴェンの弦楽四重奏曲、マイルス・デイビスやミケランジェリのピアノやサザンのCDの中身が抜かれていた。
4.5回深呼吸して階下におり、まだ、スパゲッティをパクついている子供達に聴いた。
「パパのUFOはどこへ行ったの?」
声を揃えて
「お芋の畑をとんでッた。」「キレーかった。」「またやりたい」
ボクはその晩、懐中電灯を持ち、いも畑でCDを回収した。

UFO.jpg


棄てるに忍びずそのCDは今も傷だらけのまま、ボクのCDラックに残っていたのでした。
普段はDBXノイズリダクションのメタル・テープで聴くものだからすっかり忘れていた。
ちょっと力が抜けたけれど、ボクの子供達の数少ない爆発の一つだった。
彼らには金と銀のマジックで絵を描いた紙製のフリスビーを4.5枚作って与え、その後ボクの部屋のCDは空を飛ぶこともなく、彼らは間もなくその遊びに飽き、新しいどきどきする遊びを探しに飛びだしてゆくようになった。

痛いけれど懐かしい想い出です。[夜] 

 

 

 

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ぼんくらオヤジ

拝読していて、ぼんくらも我が子の昔を思い出しました。
二度と味わえない、でも子供たちと作った確かな足跡。
でも優しいお父さんですねぇ。ぼんくらなら縛り首です(笑)
by ぼんくらオヤジ (2009-07-15 19:29) 

yakko

お早うございます。
今となっては懐かしい、ちょっとほろ苦い
お子達との思い出ですね (^。^)
by yakko (2009-07-16 08:39) 

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