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遠く儚い春 [音楽]

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シベリウス/交響詩『春の歌』op.16

『春の歌』というタイトルが付いたのは2度目の改訂からだと記憶している。
1894年に作曲されたときは管弦楽のための即興曲というようなものだったとどこかで聴いている。
多分学生時代のFM放送かなんかのヘルシンキか何処かの音楽祭の解説だったと記憶しているから相当危うい。
YouTubeのこの演奏はヘ長調であり第2版らしい。
初版はニ長調で、フィナーレも違う。
ボクのイメージは長く厳しい冬の後にようやく萌えてきて、すぐに色褪せてゆく初春の柔らかな日射しと、
ほうほうと萌葱色の若い草木の若芽が広くなった空に向かってたってゆく風景とあまりに儚い季節の移ろいの中の数瞬の悦びと重なってゆく人生の青から朱に移る間もなく白く移ろってゆく命の季節感の虚しさかな。
この曲が春の息吹への歓喜に終わっていないのは彼がこの曲に付けた副題『La tristesse du printemps』(春の悲しみ)に添っているように感じる後半の抑制された歓びと言うより、自分の中に待ちこがれていたものにあまりに早く馴れてしまう心の憂鬱がこもっているように思う。
どんなもんかな。
チェロとクラリネットの上向いた優しげな主題が後半再現されるときの雄大さには春の叙景はなく、シベリウスの個人的な気分が行き先を決めている。
自国の伝承や歴史を素材とした交響詩が多い中で、この曲はとても異質なものを感じています。
故に前半のみ、ボクは好きです。

最終的にはこの曲は第2版での初演後すぐに改訂されて1903年に出版され、現在に至っているようです。




 

Spring Song / Bard

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 1992/10/26
  • メディア: CD

 

 

 

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コメント 3

フサヲ

『春の歌』という題名に強く惹かれ、
普段は下げ気味のPCの音量を、思わず大きくして拝聴しました。
・・・しかも2度も(^m^A)゛
by フサヲ (2011-02-21 15:01) 

松本ポン太

シベリウスというと「フィンランディア」を学生の頃、オケで弾いただけであまり聴かないので、この曲は初めて知りました。
春なのにどこか哀しげで、やっぱり「フィンランディア」に通じるような北欧っぽさがあるように思いました。
by 松本ポン太 (2011-02-21 20:24) 

Mineosaurus

フサヲ 様、 松本ポン太様。シベリウスにはチェロ、ピアノ、弦楽合奏曲素晴らしい作品がきら星の如くあります。彼はシンフォニストですが、様々な音楽分野に記憶されるべき北欧の巨人です。
by Mineosaurus (2011-02-21 21:41) 

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