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我が手と心-認知症 [雑考]


75.gif  認知症に関してボクはイラストレーターとしての仕事以外では公私にわたって関わり合っている。
認知症には誤解を恐れず大雑把に言えばアルツハイマー型と脳血管障害によるものに分かれる。
高齢者になるに従って認知に問題があるかどうかの判定は微妙になる。
家族がいつも見ている父や母の見当識(場所や時間などがわからない)や最近記憶でどうもおかしい素振りが見えたり、料理の味付けが変わったり、服装や趣味が変わったり様々な変化が感じられてくると、それは決して気のせいではない。
注意なんてしなくても、日常を共にするものの変化はすぐに察知できるものだ。
もっとも、顔を合わせても言葉すら交わさないような親子関係が今では『家族』の単位を小さくしてしまっている現実があるようだけど。
僕の母は脳血栓性からはじまり、これと並行してアルツハイマーを発症した。
父は老人性である。
病名としては母が重いが、実は高齢である父の方が現在の認知症判定に広く行われている長谷川式の判定を行うと数値的にはよろしくない。
でも、父には変わらぬ頑固の個性と日々忘れては覚えるくり返しの中で様々な老人性の症状を見せるものの、考えそのものは奇抜な行動に対し自分なりの論理性を持っている。
母は変わった。
無気力であり、老人性の健忘症とは全く異なる脳の異常を思わせる。
計算ドリルや、様々な知育カリキュラムも彼女の気力の衰えと惰性の中で無力化されていった。
それでも純粋に広がる笑顔や時々見せる悪戯っぽい表情に昔の面影を見たりする。
今は対処の仕方もボクやボクの妻にはそれなりの形ができてきたが、以前は認知症の母に日々送りつけられる通信販売の悪意に満ちた行為と徹底的に闘って疲れ果てたものだった。(現在一社と水面下で闘っている。この記事では名前は伏せるけれど、いつかは堂々と戦端を切るかも知れない。)
ボクのもう一つの仕事柄、認知症の高齢者とのつき合いは日々数十人に上るけれど、自分の肉親になるとこれはもう全く違う。
頭では理解していても冷静でいられない。
父の妹を母に持つボクの従兄弟は精神科の医者だが、自分の母となると上手く行かないものだとしみじみ洩らしていた。
薬も呑んでくれず、弟(これも医者)とともにたっぷり1時間以上は正座させられて説教されるそうである。
早期発見。
それは現代医学で早期治療につながるものではまだない。
今、アルツハイマー型認知症のための薬は世界にたったひとつであり、その薬も決して治療薬ではなく、 認知症の進行をできるだけ遅らせる効果しかない。
その意味で早期発見は大切だと思う。
それだけ深刻な症状を発症するまでに時を稼ぐことができれば、老いが緩やかに 認知症を追い越してゆくことができれば、彼や彼女は孫の名前や長く連れ添った伴侶の名前を忘れることなく幸せな生涯を送らせてあげることができる。
アルツハイマーはまだ今のところ不治の病である。
でも、早期発見は彼や彼女の残りの人生に重大な結果をもたらす。
人は生まれた瞬間に死に向かって生き始めるけれど、アルツハイマーはその人にとって『死』すら忘却させる。
ある意味病理的宗教性をもってはいる。
何故、アルツハイマーが不治の病として登場したか。
医学が論理性と実証性で切り崩そうとする先にある配剤は、なんなのか。
ボクは時々父母の寝室の電気を消すとき『忘れてゆく』ことの悲劇と幸福を考えてしまったりする。
そんな個人的な体験は別にして、あなたの父や母に日常に変化を感じたら、それは気のせいではなく、間違いなく、イレギュラーを知覚していると思った方がいいですね。
客観的な判定を行うこと。
認知症 相談には住んでいる市町村の健康福祉課からのパイプを通じて、地域包括支援センター、脳神経科を中心とした医療機関等生活面や医療面での窓口がいくつかあるはずです。
ボクは早期発見が 認知症の進行を可能な限り遅らせることができると信じて医療の方から入ることが今のところベターではないかと思っている一人です。
そして、今のところまだ父や母の住み慣れた家で彼らの暮らしを続けてもらえるだけの実践的な知識と経験が日常を支えています。

勉強することは山ほどあります。僕自身それを忘れてしまう年齢になってきましたけれどね。

 

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コメント 3

ponnta1351

認知症怖い、と思っても自分がなっても分からないので始末が悪い。70過ぎからなる人もいるのかしら?
それから血統的な遺伝も有るのかしら?
自覚症状は無いけれど自分では分からないね・・・。

両親とも(すでに他界)認知症にはなりませんでしたけど。
日頃、運動や読書、興味ある展覧会に行ったり音楽聞いたりしているけれど予防になるのかなァ?
そうして居ても、なる人はなるのかなァ?
by ponnta1351 (2011-02-25 17:08) 

chima

離れて暮らしていると
治療をすすめても通じなくって困ります…^^;
by chima (2011-02-25 17:37) 

Mineosaurus

ponnta1351さん。これだけはねえ。ボクなんかも徴候があるかも知れません。まだ判定ではまともな数値ですけれど。
chima さん。服薬の管理もできないと思いますね。うちの二人は妄想がないのでまだ何とかなっています。でも、この木の芽時はやっぱり変ですね。
by Mineosaurus (2011-02-25 17:45) 

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