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子供の絵は今しか描けない貴重なアート [Special]


自分が子供の時、どんな絵を描いていたのか、全く覚えていない。
何年か前、まだ自分自身の子供達のために押入が占領されることになる以前に父が残していたボクの小学校入学以前のクレヨン画を見たことがあった。
舟の絵。
それは軍艦の絵らしく、日の丸の旗が船尾にはためいており、そのほかの部分にはハリネズミのように大砲がついている。
噴飯ものの舟の絵。
子供の頃に床の間にあったどなたかの鷲の墨絵を模写(模写といえるような代物ではないがそれが今も父の部屋の天袋にある一幅の掛け軸であることは判る。)したもの。
そして、黒人が木に登ってツボみたいなものを掴んでわめいている絵があって、他の絵柄から見てずいぶん奇妙に感じたことだった。
子供の絵は大人の絵とは凄く高次なところで共通する。
経験のいらない感受性については子供と大人の差はきわめて少ないのに、徹底的な省略の中にあらわれる未完成の完成度は一流の大家の筆の置き所と似通ったところがあったりする。
ところでボクは小さなもう茶色く変色して薄っぺらになった昔の段ボールの中で見つけた奇妙な黒人の絵が、実は『花咲爺さん』を描いたものであることを、職場の食堂でうどんを食っているときに何故か突然思い出した。
ボクは絵本の中のワンシーンを描いていた自分を鮮明に思い出し、そうであれば、たしかポチの絵が添えてあったはずだと、2階の狭い廊下の上にある小さな戸袋を開け、小さな段ボールをひっくり返して、その絵を眺めた。
茶色くなったその絵はクレヨンが劣化し黒ずんでいて、その小さな紙の右隅に昔は確かに白く塗ったはずのポチが、今は黒い縁取りだけになって吠えているところが描かれていた。
心が熱くなって少し手が震えたのを思い出した。
誰の感動を誘うような絵であるわけではない。
だけど、自分の血の管に暖かい昔が流れたのを感じた。
想い出はボクの場合茶色くなって薄っぺらな段ボールに詰まっていたけれど、それが今はデザインTシャツ になったり、iPhoneケース にデザインとして残るようになった。
『CollaBorn Kids Art』でボクは子供の原画をそのまま残せるようなデザインでTシャツを創っておきたかった。
子供特有の描き飛ばした抽象性がシャツの上で踊るのを見るのは楽しい。
子供の絵には具象の基礎がなく、ダイレクトな感性が大家の結果に並ぶ。
子供の脳みそをもった大人の完成度と子供の未完成はびっくりするほど近しい。
『凄い!でも、こりゃ何を描いてんだ?』
この言葉は有名な作家にも、子供 絵にも発せられる。
そうなのですね。
子供の絵には工まずして突いた本質がある。
あまりに裸で輝いているためにくたびれかけたボクの感性には少し眩しすぎるけどね。
やがてボクと同じくらいの年齢になった子供のために残しておきたい古着にしたいね。

 

 

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yukikaze

ありますね。。。
私は子供のころのほうが絵がうまかったそうです。
確かに今見ると、無駄な線が全くなく、それでも何が描かれているかは一目瞭然…。今は、やたらと線が多いのがいけないのか、なかなか何を描いているのか分からない状態になります…。
by yukikaze (2011-06-06 14:59) 

Silvermac

テレビで4歳の少女画伯が紹介されていましたね。矢張り才能ですかね。
by Silvermac (2011-06-06 21:50) 

Mineosaurus

Silvermacさん ボクも見ました。でも、これまでもたくさんピカソの匹敵するというキャッチフレーズをもった天才少年や少女が出現しては消えて行きます。彼らには青の時代がない。天才には過程があり、熟成する具象の時代があります。色彩に関する意外性はサルにだってあります。(酷な言い方ですが)
彼女たちの数瞬は素晴らしい意外性に包まれていて、ボクらは虚を突かれるけれど、彼らは抽象であろうが具象であろうが筆致を変えることはない。感性で捉えたものを予備知識も修練もなしに描くのだから、それはそれだけで抽象性を獲得しています。彼女の絵も、隣の坊やがクレヨンで描く落書きも基本は同じです。だから、彼らは少し判ってくる年代になるとうまく描こうとして結局子供の脳みそを捨ててしまうのです。
そのほとんどが有名な子供を持って舞い上がったママやパパの存在によって捨ててしまう時期が早まるようです。
by Mineosaurus (2011-06-06 22:36) 

きいちゃん

子供の描く絵は素敵ですよね?
私は、娘たちが描いた絵や切り絵を額縁に入れて、日々眺めています。(もう20年くらい前のものですよ)
一生懸命に描いていた時の様子を思い出し、大事に飾っています。(*´∀`*)
by きいちゃん (2011-06-07 19:16) 

Mineosaurus

きいちゃん さん。ボクの長女は幼稚園入園前、以前住んでいた家の廊下の壁に鉛筆で大きな絵を描いていました。本人に聞くときっぱり『犬』と答えたものです。その後一年ごとに何を描いたのか聞きましたが、答えは変わりませんでした。
ついこの間帰省したときに前の家の話をしていて落書きの話が出たのですが、小学校高学年ではもう、自分が何を描いたか確信が持てなくなっていて、とりあえず『犬』と応えていたそうです。小さいときのユニークさは成長と共に置いてかれるんですねえ。
額に残せれば素晴らしいですね。
by Mineosaurus (2011-06-07 22:28) 

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