立ちつくすカンタービレ [音楽]
ラフマニノフ/楽興の時第3番ロ短調op.16-3 アンダンテ・カンタービレ
鍵盤の上で大きく広げられた両手の指先は遙か重力のない空間で羽ばたきつつホバリングしているようにその指先の届く範囲を少しずつ移動させながら歌い始める。
最初にこの曲を弾いた本人が持つ巨大なスパンと健全性を損なうほどに柔軟な指先を誰も持たぬが故に、現代の多くのピアニストはゆっくりと歌うようにと指示されたこの小品に許されるギリギリまで主観を交える。
ところが、最初の和音からベルマンの音は意外なほど客観的に響く。
19世紀的であると言われる彼は意外なほどインテンポで、作曲者の指示をペダリングに至るまで厳守するが故に現代のピアノの性能で再現されるとやや響きが濁る。
それでもなお、作曲者の呼吸と感情の高まりが彼のやや猫背の背中を通して響いてくる。
左手の低い付点が右手の歌を野辺に送り出すように響く。
この印象的な部分はラフマニノフがよく使うやりかただけど、呟くように続くひっそりと低く歌われる右手の高揚に合わせ、その傍らを他人のように通り過ぎる。
まるで別れを告げた愛しい人に背後から抜き去られるように歌はその場に取り残される。
オススメ頂きました『ベートーヴェンの弦楽四重奏曲』
今週から聴かさせて頂いております。
アルバン・ベルク四重奏団のCD・・・数年前に
旧盤(EMIボックス)を購入してあったのを発見しました。
ホント、この曲を聴くには体力が必要なくらいすごいです。
仰る通り、少しでも若いうちに聴けてよかったです(^^)
by kontenten (2012-04-14 10:39)
こんばんは。
今日は日高村の「屋根の上のガチョウ」で2種のケーキを
買って帰りました。とっても美味しかったです(^。^)
by yakko (2012-04-14 22:25)
kontenten さん。後期を聴くとはじめは集中力がいるように思いますが、年喰ってくると演歌みたいに感じて来ます。
でも、、もう少し聴いてくるとやっぱり特異な音楽、孤峰であると感じますね。他の作曲家にはベートーヴェンの第1番から後期に至る過程がないのです。
yakko さん。通り道ですが、芋や金治郎の焼き芋タルトもいいですぞ。
by Mineosaurus (2012-04-14 22:55)
仁淀川町の桜を覧てきました。
ひょうたん桜は花が無かったりですが、垂れは見頃で満開でした。
by Silvermac (2012-04-15 06:21)