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久々のラフ [音楽]


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ヨアヒム・ラフ/ピアノ四重奏曲第1番ト長調 Op.202

第1楽章 アレグロ
第2楽章 アレグロ モルト
第3楽章 アンダンテ クァジ アダージオ
第4楽章 アレグロ

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ヨアヒム・ラフの室内楽についてはほとんど紹介したんだけれど、最後にピアノ四重奏曲を残していた。
これはボクが知らなかっただけかも知れないが、YouTubeではこの作品の全曲が聴けるようになっている。
毎度『いいのかなぁ………』と心配になりながらも、利用させていただいています。
彼の作曲家としての地位はもうこの作品や次のハ短調の頃にはすっかり衰退していたと記録されている。
ただ、全盛期1860年から1870年までの時代はその人気は絶大であったようだ。
作品番号が200を超えているのは決して趣味ではない。モーツァルト以後の作曲家は多かれ少なかれ、需要と供給のバランスの上に立っていた。
この作品は1870年代の半ば彼の創造性が枯渇したと批判した批評家達へのラフの答えであったようだ。
けれど、この作品は必ずしも成功しているとは思えない。
確かにアンサンブルは精緻であり、旋律も美しいけれど、強烈な個性ではなく、彼の特徴である折り合いの良い曲作りが作品自体の長さに比して、その濃さを薄めている。
それでも、繰り返し聴いていると、その実力の凄さを思い知る。
力の使い方がちとボクの耳に合わないけれど、ブラームス級である。
実に40分を超える演奏を予定している。
勢いのあるテーマから飛び出す第1楽章。
ピアノから各弦楽器に輪唱してゆくスピード感と対位する楽器間の距離と熱気は再現する音楽家の想像を受け止めるだけの大きさを持っている。ロベルトシューマンの手法である。
もったいないほどの旋律が盛り込まれ、実演映えのする音楽。
回帰するテーマはピアノの明確なアルペジオの中で明滅しながらとても協奏的に展開する。
楽章自体の纏まりよりはアンサンブルの粋を印象づけるために様々な手法を盛り込んだ音楽。
「おう、凄いな」と思って聴いていて、ふと、音楽の流れの中の何処を聴いているのか判らなくなっている自分に気づく。
ラフの音楽はその時々の先達達の名品に影響され、その要素を上手く自分の創造力の中に取り込んでゆくので、様々なスタイルに変幻する。第1楽章は頭の中で整理しながら聴くべきでしょう。
第2楽章はちょっとユニークな入り方をするスケルツォ。
ここでは結尾のピアノがシューベルトのように歌う。
第3楽章は得意のアンダンテ。
リートのようなピアノの旋律がほつほつと歌を奏で、低音のピチカートの上をヴァイオリンとヴィオラが歌う。
ややセピア色の愁いのヴェールが音楽を覆っている。
作品3つぶんくらいの曲想が詰め込まれている。
よっぽど批評家の意見が気に入らなかったのかネエ。
次第にエスプレッシーヴォしてくる音楽は速度指定を無視するように昂る。
ヴァイオリンの旋律が素晴らしい。
ここでもシューベルトのような旋律が鏤められ、最後は引きずるような憂鬱に沈む。
フィナーレはピアノが主導し、残ったありったけの曲想をたたき込む。
この辺になるとボクの耳は混乱し、終わりまでの集中力がなくなるのだけれど、本日は珍しく、堪えきったね。


同じ高さの山が連なっているとそれぞれの高さはあまり感じなくなってくる。

全曲のビデオしかないのですが、第3楽章 18分38秒辺りから始まります。





AmazonにはCDはありませんね。HMVにはあります。






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