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優しい情景 [音楽]


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カミッロ・シューマン/チェロ・ソナタ第2番ハ短調 op.99

第1楽章 アレグロ マ ノン タント
第2楽章 ロマンツェ: ウン ポコ アダージオ カンタービレ
第3楽章 スケルツォ: アレグロ ノン アッサイ
第4楽章 アレグロ モデラート


 CamiloSchumann.jpg    以前一度チェロ・ソナタ第1番やチェロとピアノのための小協奏曲について記事を書いた。
カミッロのデータは少なくて、CDもその膨大な作品群に秘して極めて少ない。
ザクセンの音楽一家に生まれ、12歳でローカルエリアだが管楽アンサンブルの指揮者にも選出されている。
時代背景から、彼の得意分野であるオルガンを除きブラームス(特にこの第2ソナタ)やラフマニノフの影響がソナタにはどうしても色濃く残っている。
ただ、特筆すべきはその素直で柔和な『優しい歌』である。
その長所は大曲よりも小品によく出ているし、ソナタでも緩徐楽章によく顕れている。
管弦楽曲や協奏的作品も多く残っているが、ピアノ三重奏曲の3曲なんかは聴いてみたいけれど、とっかかりがまるでない。(NAXOSガンバレ!)

この作品はさすがにソナタの形式的な枠で押さえられていて、彼の持つ自由な歌が開放されているわけではない。
それでもピアノパートの地味ながら歌を支える部分から協奏する部分の展開はこの作曲家自身のピアノ技巧の卓越も聴き取れる。
音の重ねかたにはブラームスの影響が濃いが、作曲者自身の晩年の充実が聴ける。
特に第1楽章について、いつもはこういう未聞の音楽家の作品について、シートからイメージを膨らませてゆく部分についてアンサンブル互いのディスカッションが時間的に不足気味であるようなきがする。
お互いの技量でこなれているけれど、何処か感じきっていない演奏も聴かれるお二人ではあるが、ここではかなり頑張っている。
特にピアノパーとは作曲者自身の技量がかなりのものであったらしく、伴奏を超えなければ処理出来ない表現が鏤められており、結果的にそれが演奏の質を保つことに繋がっているようだ。
基準になる演奏家といえば、まだあるのではないかと思ってしまうのである。
とにかく、ボクはこの演奏しか知らないのだからどうしようもない。
第2楽章は小協奏曲のロマンツェよりも構築的なもので、カミッロの資質が様式によって出口を搾られているような気もするけれど、歌に自発性があって優しい夜明けの情景が浮かぶ。
ピアノがいい。
でも、まだ抑えていて、この作品のカンタービレを開放していない。
第3楽章は ブラームス的スケルツォ。
こういうところに演奏者の技巧が先に立った『処理的』名気分を聴いてしまう。
ヒューバート・パリーの交響曲を演奏したロンドン交響楽団がブラームスに似た彼の作品を敬意をもって演奏したCDがどんなに素晴らしかったか、そういう演奏でこの作品が聴けたらと思ってしまう。
第1楽章の主題がグロテスクに形を変える。
どこかユリウス・レントゲン(どっちが先か微妙だけど)のソナタの主題に出てくるような音形に近づく第4楽章。
アレグロ コン ブリオくらいで終わりたいところだけれど、作曲者の優しさなのかなあ。
結構頑張っているのだけれど、音楽に壊れる寸前の勇気がない。

全曲通して聴けるけれど、その中で特徴的な(ブラームス的であるということも含めて)楽章といえる第1楽章を

 

 

 

 

 


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