闇の風 [音楽]
ルイ・ヴィエルネ/チェロとピアノのためのソナタ op.27
第1楽章 ポコ レント;アレグロ モデラート
第2楽章 モルト ラルガメンテ
第3楽章 リゾリュート;アレグロ モルト
1910年、20世紀に入ってから書かれた作品。
フォーレ以来の様式を踏襲しつつ、響きについて独自の領域を持つ。
冒頭はバッハの無伴奏から立ち上がるような印象の底の入ったチェロの音色。
リリカルなピアノのテーマが歌われると音楽はアレグロへと加速する。
時間のうねりがクッキリと見えるように聞こえる。
ヴィエルネはオルガンだけではない。
彼の多様な才能はもっと知られてもいいと思う。
最初にピアノに出てくる音形がテーマとなり、楽章全体に統一感を持たせる。
スピーディだけれど、チェロは十分に歌い。
色のない闇にに何度も色を塗り替えて闇から縹色に近づく。
明けてくるグルービィな夜空に思いの外優しい風が吹く。
チェロに移る主題は次第に重さを増し、憂鬱の一歩手前で
ピアノが差しだした高音からの優しい手を握り替えして上昇する。
第2楽章はたっぷりとした幅をもった音が求められたとおり、ピアノがその気概をみせ、
チェロの得意の低音の領域とピアノの音量が幅白いバスを作り出す。
ここの歌はフォーレの晩年の夜想曲を聴くようでボクは好きだ。
ただ、紹介するに1楽章ごとの区切りと展開がクッキリとしているので、全曲を通さないと誤解されやすいかも知れンね。
第3楽章 ここも楽章の気概はピアノが切り出す和音によって全体のテンションを決定する。
決然としたピアノの入りからチェロに歌われる主題がソナタのフィナーレらしい雰囲気を作って行く。
時折各楽章の主題が顔を出し、走り去った場所をなつかしげに振り返りながら、闇の中に底だけ明るい色が射した心の居場所を
確認しているように回顧しながら音楽は前に進んで行く。
どの楽章を紹介しようかと迷いつつ、結局第2楽章に惹かれてしまった。
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