序奏の美 [音楽]
シューマン/交響曲第2番ハ長調op.61
第1楽章 ソステヌート アッサイ-アレグロ マ ノン トロッポ
第2楽章 スケルツォ:アレグロ ヴィヴァーチェ
第3楽章アダージオ エスプレッシーヴォ
第4楽章アレグロ モルト ヴィヴァーチェ
序奏部のトランペットの柔らかな音色にふわりと降り注ぐ弦楽の旋律が対位する美しさは何度聴いてもよろしいね。
トランペットをまず聴く。
そしてその中にもう一つの音楽が啓示的に流れる美しさを聴く。
それだけでもいいやね。
「ハ長調のトランペットが頭に響いている」1845年9月に盟友メンデルスゾーンに書き送った手紙はこの部分を指しているのかな。
序奏部で育った動機の反復が第1主題の形をなし、それは様々に変幻し闘争的になり、厚みを増して意思的になり、あるいは滑らかに滑り降りる。
第1番の雰囲気を引きずっているけれど、シンフォニーの中心がオ-ケストラノ中央に重なるとき、忘れかけていたシューマンの音楽がぴったりと耳についてくる。
第2楽章のスケルツォはシューマン独特の同じ音形のくり返しが多く、弦楽器が近代的だと乾きすぎて押しつけがましくなる。
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の古雅な音色はローカリティが残っていながら洗練を纏いこの音楽を穏やかな微笑みの中でひろげてみせる。
ボクは以前セルやクルト・マズアの演奏を聴いていたのだけれど、こういうのもいいなあ。
第3楽章はハ短調のロンド形式。
主部のヴァイオリンのメンデルスゾーンでも書きそうな愁いの歌が美しい。
この楽章だけカラヤンがベルリンフィルを振ったときの演奏をYouTubeで聴いた。
めちゃめちゃ奇麗なのです。
こういう方向もやっぱり残って行くべきなのですねえ。
唯美的だけど、美しさはダントツですね。
シューマンがどっかへいってしまい、音楽の持つ魔味が蜘蛛の糸のように絡みついてくる。
でも、ボクはきっと飽きてしまうだろうなあ。
カラヤンでボクが今でも鳥肌が立つのはシェーンベルクの『浄夜』です。アレは凄い。
てなわけで、もう一度パーヴォ・イェルヴィの振ったドレスデンSKに戻った。
第4楽章 一部と二部に別れているかのような長大ななコーダを持つ。
メンデルスゾーンのイタリア交響曲の冒頭を思い出す。
展開部を見つけられないソナタ形式から始まる。長大なコーダ部分は変幻し、第3楽章の歌を拾い出しながら壮大なフィナーレがティンパニの連打で結ばれる。
演奏はいくつもいいのがあったのだけれど、第1楽章序奏部と第3楽章に古雅な音色が曰く言い難いドレスデンの音を
全曲掲載なので第3楽章は19:21位から始まる。
ライブレコーディングです。
Schumann: Symphony No. 2 & Overtures
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Symphony No. 2/Overtures 'genoveva' & 'manfred'
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