凡の駿 [音楽]
ナディア・ブーランジェ/チェロとピアノのための3つの小品
第1曲 モデレ 節度をもって
第2曲 急がず、うれしさをもって。
第3曲 速いリズムで細かく
あまりにも多くの優れた音楽家を輩出していて、自身の作品についてはほとんどが手付かずの状態であり、また生来の自己批判の厳しさから、ボクが聴くことのできる作品は凄く少ない。
印象主義的な一面を持ちながら無調に傾斜することなく、調性的な音楽作りに終始した。
彼女自身は、自身よりもはるかに偉大な才能に溢れていたが病弱であった妹リリ・ブーランジェから一歩引いた音楽人生を送った。
作曲家としては。
自分の才能が妹にはるかに及ばないことを知悉し、妹を支えて生きた。
しかし、それは音楽教師としての彼女が20世紀に果たした偉大な足跡に影を落とすものではない。
キース・ジャレット、フランシス・シャグラン、ディヌ・リパッティ、ヤン・トルトゥリエ、ジネット・ヌヴー、イーゴリ・マルケヴィチ、ミシェル・ルグラン、矢代昭雄…多士済々
天は二物を与えないのかね。
妹リリのピアノとヴァイオリンのための夜想曲の複雑でイマジネーションに溢れ音楽なんかと比べると、とても地味である。
でも、そこには明滅する霊感を懸命に拾い上げ、ソナタのように纏めようとしたこの作品のまだ完成が少し先にあるようなたたずまいが彼女の心根を顕している。
ドビュッシーが聴こえそうだけれど、ここには女性の細やかな感性がチェロの恰幅に支えられている。
遠くを見据えている口元に微笑をたたえていることに本人は気づいたろうか。
- アーティスト: Bohuslav Martinu,Heitor Villa-Lobos,Mozart Camargo Guarnieri,Nadia Boulanger,Celina Szrvinsk
- 出版社/メーカー: Avie
- 発売日: 2008/11/25
- メディア: CD
アストル・ピアソラも彼女の薫陶で才能を開花した一人ですね。名教師自身の曲,初めて聞きました。
by Enrique (2014-08-06 07:01)
ナディア・ブーランジェ、
ご紹介の演奏を聴いて初めて知りました。
もっと早くに出会えれば、
とも思いますが、これもひとつの縁でしょう。
ありがとうございました。
それにしても門人の名前を見るとほんとうに多士済々ですね。
by e-g-g (2014-08-22 17:13)