SSブログ

音の音詩 [音楽]

いやあ、久しぶりに暇ができたんだけど、アップロードを失敗して一度削除してしまった。
先に下書き用にしとかないとダメなんだね。しばらくやらなかったらジジイの記憶力は恐竜並だな。[あせあせ(飛び散る汗)]リハビリ、リハビリ。


Violin.jpg
イザイ/詩曲 悲劇的詩曲 op.12


彼の代表的な作品はあまりにも高度な技術的ゆとりを必要とするが故に演奏される機会が極めて少ないが故に、イザイ自身の演奏を超えるものはいまだに聴いたことがない。
彼のバッハを強く意識した無伴奏はいくつか紹介したことがあるし、子守唄なんかも取り上げたことがある。
素直に凄いと思ったり、リリカルに感じたもの。
でも、この作品は、何度か紹介しようとして書きかけてはやめにしていた。
正直、「さあ、書こう」と思ってヘッドフォンで流しながらキーを叩こうとするたび聞き流していた部分に深い呼吸の闇に気づいたりして「ありゃ?」ってなもんで、このへんからと思っていた切り口がブレる。
で、「今度にしよう…」とか考えながらこの前も古代の巨大ナマケモノの骨格の形成に時間を割いていてすっかり忘れていた。
今聴き直しても、難物である。
それは難解であるということではない。
晦渋であるということでもないと思っている。
でも美しいかというとそうではない。
この作品は彼の中にある情熱を悲劇的なテーマに乗せてヴァイオリンの音色が醸す繊細な音詩の中に織り込んでゆく。
その作業が詩的な、例えば白紙に書かれたれた『涙』という文字の前後左右には見ることができないけれど、音の中には『涙』の前に滲んで広がるそれ以前の音の残り香と
『…だ』に続く歌の響きが流れる。
そこに演奏者のその部分に寄せる思い入れが様々な聴き手の好き嫌いに反映する。そういう要素もある。
『詩的な』という言葉には短い言葉の繋がりによって感じる形と言葉が抜けた後に残る表現の穴に流れ込む行間のニュアンスにある気品や香気を意識した意味が間違いなくある。
表現が消費する時間の長さがその詩的な時間であると。
擦過音による弦楽器は比較的容易なのかもしれない。(ぶん殴られるかなあ容易なんていうと。)
例えばギターなんかではどうか、弦にはメーカーによって弾いた時の音色や、豊麗な響きや、音の太さ細さがあるのはわかる。
その素の特徴と楽曲の特徴、音の間をそれぞれの楽曲にあった使い方をし、弾き方をするまだ先に解釈ってのがあるね。
これは特徴は違ってもすべての弦楽器にもあるし、楽器自体の個性にもある。
ボクはギターを弾く友達はいるけれど、自分自身はコードとアルペシオで伴奏するくらいしかできないので。
技術の高さと表現力の高さが未聴の高さで結びついた演奏を聞いたことがない。
とても可能性が広い楽器だけれど、ボクにはその一部分すら掘り下げる時間がない。ちょっと悔しいけどね。
話がいつもどうりそれた。
イザイのこの作品は
ロマンティックで情熱的なテーマを繰り返してゆく幻想曲形式を取る。
元々オーケストラとヴァイオリンのための作品なのでピアノの表現力はオケを凌駕する音域の中でとても気を使う色彩感覚をもってサポートする必要がある。
伴奏に終始するとこの曲の技術が鼻につく。
でも、このレベルの演奏は本当の楽曲の魅力を聴かせてくれる。
悲劇的というよりも、一度そういう思いをに飲み込んだ後の挽歌を聴いているように感じる。
セピア色に褪せた昔の手紙が端から炎をまとって捲れてゆく。
その炎の色は燃えているかどうか一見わからないほど紙の色に似ていてただ、文字を焦がしてゆく焦げ茶色の縞の広がりで燃えているのがわかる。
テーマはそんなイメージをボクに与える。

その手紙の内容はわからないけれど。


イザイ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集 (Ysaye: Works for Violin & Orchestra)

イザイ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集 (Ysaye: Works for Violin & Orchestra)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: CPO (ヴァイオリンとピアノ版ではありませんが)
  • 発売日: 2006/04/01
  • メディア: CD









9743423.gif

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ【トレミー】人気ブログランキング

nice!(45)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 45

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

Blogの中の猫たち-183経年の結晶 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。