シューベルト-素朴な歌 [Movie]
ヴァイオリンとピアノのための幻想曲ハ長調
屈託のない素朴な歌。
シューベルトの歌には彼の人となりと同じような歌謡が流れていて絶えない。
シューマンが羨んだように、ベートーヴェン以来のソナタ形式の構築性を受け継ぎながらロマンティックな華をもっている。
即興曲の中にもそれは現れ、疲れたときに意味なくその音の流れが紡ぐ歌をボクは机に両足を投げ出したあまり行儀のよくない格好で聴く。よく小学生の次女に咎められたものだ。
昔、「未完成交響楽」という映画があって、、小学校の教師になったシューベルトが教壇に立っていて、呆然とする生徒を置き去りにして、陶然とした表情で教室の黒板に夢中で音符を書きなぐってゆくシーンが思い出される。
それは「野ばら」だった。
同じ詩に書いたモーツアルトのものと違い、はねるような天然無垢の愛らしさの中に小さいけれどちゃんと棘がある「野バラ」でははないけれど、
優しく流れる歌謡性を自然に楽譜にした人の温かみがある。棘のない薔薇である。
第9交響曲が今では第7とされ、カールシューリヒトですり切れるほど聴いた未完成交響曲のエピソードは映画のシナリオから遠く離れてしまったけれど、あのシーンは今でも微笑ましく心に残る。
今改めて思い返すと、ボクは確かにあの映画を初めてテレビ放送で観たときは小学生で、シューベルトも知らなかったし、野バラも知らなかったのだった。
それでも心に残っていた。
今、ヘッドフォンから流れているのはシモン・ゴールドベルクのヴァイオリンにラドゥ・ルプーのピアノという組み合わせだ。
シューベルトらしい屈託のない歌が生き生きと奏でられていて好ましい。
何度検索してもヒットしないのでおかしいと思ったら、ヴァイオリンとピ」までで切れていました。しっかりしてくれョアマゾン。
コメント 0