左手のために-舘野泉 [音楽]
舘野泉さんといえばフィンランド国立音楽院シベリウス・アカデミーの教授であり、ピアニストとしてフィンランド政府から終身芸術家として年金保証を受けているヘルシンキ在住の名ピアニストです。
ボクは以前の記事でもいくつか紹介しましたけど、彼の演奏する録音はレコード時代から100枚を超えます。
彼は2002年のフィンランドでのリサイタルで、最後の曲を弾き終えた時脳溢血というアクシデントに見舞われ、倒れました。
以来、彼は左脳の領域である右手の自由を失い、左手のピアニストとしてカムバックするまで、人知れぬ苦悩や苦労があったのだと思います。
ミシェル・ベロフも一時期右手が使えなくなっていたことがありました。
その時、ドイツ・グラモフォンからマルタ・アルゲリッチの演奏するラヴェルのト長調の協奏曲とのカップリングとしてラヴェルの左手のための協奏曲を弾いています。
舘野さんは、ラヴェルの曲を弾くには拘りがあったと聞いたことがありますが、北欧の風を感じるような明晰なタッチが好きだったボクは、彼の左手のカムバックを密かに、喜んでいました。
できれば、作曲されても、いまだに日の目を見ることなく、埃をかぶってしまった左手のためのピアノ曲を一曲でも多く彼に聴かせて欲しいと思っています。
- アーティスト: 舘野泉,ノルドグレン,モンポウ,吉松隆,タカーチュ
- 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング
- 発売日: 2006/01/18
- メディア: CD
- アーティスト: 舘野泉,末吉保雄,谷川賢作,シュルホフ,林光
- 出版社/メーカー: エイベックス・クラシックス
- 発売日: 2006/12/20
- メディア: CD
右手がカムバックした、いえ、カムバックしようとしている萌えるような兆しが聴かれる。素晴らしいアルバムです。
- アーティスト: 舘野泉 with平原あゆみ,吉松隆,シューベルト,カッチーニ,シベリウス,舘野泉,平原あゆみ
- 出版社/メーカー: エイベックス・クラシックス
- 発売日: 2007/04/18
- メディア: CD
他にも彼にはフィンランドの凍てつく空気の中で凛としてたった音楽を数多くのアルバムで聴かせてくれます。
シンディング「春のささやき」(ピアノ:舘野泉を聴きながら)
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