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ブラームスの2番 [音楽]

ブラームス/交響曲第2番ニ長調

第1楽章:アレグレット・ノン・トロッポ
第2楽章:アダージオ・ノン・トロッポ
第3楽章:アレグレット・グラッツィオーソ
第4楽章:アレグロ・コン・スピリート

ウィンナ・ホルンのふくよかで伸びやかな音に、手足の指先までが伸びきったくつろぎがある。
ベートーヴェンへのオマージュとしての交響曲第1番の達成感を経たブラームスが、道半ばで振り返って前を向いた音楽が伸びやかに展開する。
楽想ののどかさに、よくベートーヴェン(またしてもベートーヴェン!)の田園交響曲と準えられ、ブラームスの田園交響曲などと呼ばれることもある。
聴く方のボクは申し訳ないがベートーヴェンの第6番を終わりまで聴いた試しがない。

それはコンサートでも、名演奏家の名演奏のレコードでもCDでも同じことだ。
 実に不思議だけれど、あまりののどかさの具体性の高さについ瞼が重くなるのです。
それはある意味、作品の成功を物語っているのではないだろうかと思ったりしています。
あの特殊な交響的作品が、自然のリズムを体得し、その中に包まれるボクが自然にホントに我慢しようなどと言う気も起こらずに気持ちよくなるってことは音楽の力であるとボクは思うのです。
(自分が爆睡しておいて言うのもなんですが…)
でも、このブラームスでは一度も眠れません。
それは一聴のどかにきこえるフレーズの中にブラームスのきまじめさが作り出したドラマを聴いてしまうからです。
一筆書きのような音楽を目指した精密な音楽。
第1楽章の冒頭の滔々たる弦楽の河はやや日の陰った雪解けの冷たさを感じさせます。
管楽に転化された主題は緩やかに溶け出してゆきます。
ベートーヴェンの具体性ではなく、純粋に音楽的なレベルでの音から知覚する『のどかさ』でしょう。
作曲者の心は見事に開かれているのですが、そこには広々と額を開いてくつろぐ、手放しの音楽はなく、やはり、彼の羽根ペンの先にはしっかりとした道が示されているようです。
第2楽章の温和さとホルンが鳴り響いた後のドラマティックな展開。
その弦楽の特有の引っかかるような総奏。
懐かしさの中に、浸りきっていた思い出の中にふと浮かび上がってきた不穏と激しい心の動き、思わず座っていたベンチから立ち上がって再びそれが遠い過去のことであったことを思い出したように緩やかに収束する感情に、安堵したように再び腰を下ろす。
そんな音楽の動きがあり、その回想はブラームスらしいロマンと抒情の中に沈んでゆく。
第3楽章、終楽章には田園的なのどかさは少なくともボクは感じない。第1番の交響曲でできなかった弛緩の音楽が悠々と並べられていて、ボクは第1番の緊張感よりもこの2番の伸びやかさを好む。コーダの『これで終わりだよ』とでもいうような吹奏の艶やかなこと。第1、第2楽章の次にボクは第4楽章のフィナーレが好きです。

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ブラームス:交響曲第2番

ブラームス:交響曲第2番(大河のような演奏です。ジュリーニ時間が滔々と流れます。)

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ブラームス:交響曲第2番

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