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メンデルスゾーン ChumberMusic-8 [音楽]

メンデルスゾーン/クラリネットソナタ変ホ長調(1824年)

第1楽章 アダージオ-アレグロ・モデラート
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 アレグロ・モデラート


曖昧な雲の中からピアノが立ちあがり、静かな序奏の後、緩やかに夜が明けるようにクラリネットのしっとりとした音が、次第に明朗になり、速度を上げてゆく。
モーツアルトの幽玄やブラームス憂鬱と諦念はここにはない。
明るく伸びやかな憂いはセピア色のモノトーンから抜け出て光の中ではっきりとした歌を歌う。
気分的にはウエーバーのようだ。
ここには滋味はないけれど、しなやかで優しく若い風が抜けるような爽やかさがある。
アンダンテはロマンティックに仕上がっている。
それでも情緒に濡れたような重さはなく、クラリネットの中音域のふくよかさがそのために作られたメロディの中をするすると身をくねらせてゆく。
美しく、円かなアンダンテです。
16歳にそんな気分があるものだろうか。
単なる音に対する成熟ではなく、生まれてくる旋律はさまざまな経験と年齢の蓄積の中で色付くものだろうけれど、この音楽もそんな次元から出てきたものではないのだろう。
美しい。
だけど、何か刺さってくる棘がない。
何度聴いても美しい。
だけど決して先を考える必要がないほど心が安定している。
それが、なにか聴き足りない。
クラリネットという楽器はちょっと底が知れない。
最終楽章は元の快活が戻り、それまでの作曲家の誰とも違う軽快さと弾力と吹っ切れた魅力に溢れている。
若さだけではこうはいかないだろうね。

 

Mendelssohn: Piano Sextet in D; Clarinet Sonata in E flat; Etc.

Mendelssohn: Piano Sextet in D; Clarinet Sonata in E flat; Etc.

  • アーティスト: David Riniker,Dmitri Ashkenazy,Felix Mendelssohn,Karl-Andreas Kolly,Cornel Anderes,Andrea Friedrich
  • 出版社/メーカー: Pan
  • 発売日: 1995/10/24
  • メディア: CD

Clarinet & Piano Sonatas

Clarinet & Piano Sonatas

  • アーティスト: Charles Neidich,Carl Maria von Weber,Felix Mendelssohn,Franz Danzi,Robert Levin
  • 出版社/メーカー: Sony Classical
  • メディア: CD

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