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好きな曲 [音楽]

モーツアルトがウィーンでプロとしてスタートを切った最初の作品集の中の一曲。

モーツァルト/ヴァイオリンソナタ第34番変ロ長調K.378(317a)

第1楽章 アレグロモデラート
第2楽章 アンダンテ・ソステヌート・エ・カンタービレ
第3楽章 アレグロ

オーストリアの実業家アウェルンハンマーの令嬢ヨゼファ・アウェルンハンマーに捧げられた作品集の中の一曲。
素敵な第1楽章です。
こういう明るくてメロディアスなんだけど人間くささが抜けている曲はモーツァルト以外では聴けない。
『こうしようと』か『こう変えよう』とかいう作為を感じない。
自然の中で慰撫される自然の音とは違っているのにさらりとしていて温みもある。
抜けるような明るさと可憐さ。
ピアノに絡むヴァイオリンがうまく行っているときはホントに愉しげな歌が聴けます。
親密でいながらけっこうヴァイオリンが協奏的に動くけれど、荒くない。
演奏する方も広々と眉間を開いて]口許笑みを浮かべながら弾いているような、そんなイメージが浮かぶ。
ピアノは棘のない暖かい丸い音色でヴァイオリンは一番美しい音色のレベルで。
若い音楽家の新鮮な癖のない演奏がいい。
でも、若い音楽家はこういった曲をCDに入れるには、かなり評判になっていなければ無理のようだ。彼らがアッピールするのはモーツァルトではなく、バルトークであり、ブラームスであり、フォレやフランクなんだろうね。
第2楽章もいい。変ホ長調で、美しい歌がある。カンタービレの指定通り、古典を気にせずしなやかに歌って欲しい。長調に挟まれるとモーツアルトは緩徐楽章をよく短調で始めるけれど、ここでは変ホ長調で第1楽章の明るい雰囲気をそのまま両手にくるんでそっと移している。
ヴァイオリンのカンタービレは時に翳りながらピアノのまろやかな音色の間を巧みにぬってゆく。伴奏から抜け出た歌う楽器の姿がいい。これだけ高い簡潔と潤いを保ちつつまるでペン先からそのまま音が流れるように粗雑物がない。
魅力的な第3楽章のピアノの装飾音の中を重なって進むヴァイオリンの音色が美しい。
ピアノの音が翳りを帯びるたびに歌う楽器も暗く沈みながら次の希望を待っている。
好きな曲です。


モーツァルト:ヴァイオリン・ソ

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第34番

  • アーティスト: グリュミオー(アルテュール),モーツァルト,ハスキル(クララ)
  • 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1996/01/25
  • メディア: CD

モーツァルト:ヴァイオリンソナタ集

モーツァルト:ヴァイオリンソナタ集

  • アーティスト: ムター(アンネ=ゾフィー),モーツァルト,オーキス(ランバート)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/09/05
  • メディア: CD

モーツァルト:VNソナタ集

モーツァルト:VNソナタ集

  • アーティスト: ヒロ・クロサキ,モーツァルト,リンダ・ニコルソン
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/10/25
  • メディア: CD

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