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フォーレの秘密 [音楽]

フォーレ/ヴァイオリンとピアノのためのロマンス変ロ長調op.28

[音楽]  フォーレの書いた室内楽はピアノを含まない唯一の作品である弦楽四重奏曲から初見視奏曲イ長調やヘ長調のコンクール課題曲のようなホントの小品に至るまで、世に出なかったものはない。
それは初期の作品から既に後期の思索的な作品の中にも伏流水のようにひっそりと流れの絶えぬユニゾンの歌がある。
初期の表現的なものから晩年聴覚を病んで以後の幽玄な内省の世界まで、その時々で役割は違っても、絶えぬ血のように流れている。



このロマンスも後期のチェロとピアノのための作品が、外に向かって歌われる歌から明らかに明るい窓を背にしたような歌い出しがあるのに対して、開いた窓に向かった明るく、清新な旋律線が明白な歌の形をとる。
その点ではチェロのための作品よりも軽やかではある。
それでも節度を心得たヴァイオリンに顕れる柔らかく品のある歌。
ピアノに顕れるアルペジォが円かなロマンの輪郭を浮き立たせ、ユニゾンで奏される旋律は白く柔らかく美しいままの素足が突然より深い草原に膝まで隠れてしまうような中間部の短調の気分の変化に揺れる。
後期のより深く、いつまでも行きつかない薄暮の世界に誘われるのではなく、ただ、そのヴァイオリンの弦上に趨る高音の閃きがあくまでも技巧的に聞こえない秘密が、おそらくはピアノのアルペジオにあるのだと何となく感じつつ、素人のボクはそれ以上表現する術がない。
明確な用語で象徴することも出来ない。
ボクがフォーレにしか聴いてこなかったもの。
何か判りそうな気がするんだけど………

YouTubeの演奏は若い。でもいいね。
O.デュメイのヴァイオリンとJ.P.コラールのピアノかな?

フォーレ:室内楽曲全集I

フォーレ:室内楽曲全集I

  • アーティスト: デュメイ(オーギュスタン),フォーレ,コラール(ジャン=フィリップ)
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: CD

フォーレ作品集

フォーレ作品集

  • アーティスト: フォーレ,江口玲,江口玲,アウアー,ロンチーニ,ペリョー,シャハム(ギル),スミス(ブリントン)
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2003/11/19
  • メディア: CD

フォーレ : ヴァイオリンとピアノのための作品全集

フォーレ : ヴァイオリンとピアノのための作品全集

  • アーティスト: アモワイヤル(ピエール),フォーレ,ロジェ(パスカル)
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1997/05/25
  • メディア: CD

 

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コメント 4

ぼんくらオヤジ

Mineosaurusさんのフォーレ考にはいつも深い感動を覚えます。フォーレの一ファンとして感謝!
by ぼんくらオヤジ (2009-11-17 15:45) 

Mineosaurus

お褒めのお言葉有り難く読ませて頂きました。フォーレは良いですよね。ブラームスと同じくらい厚い部分があるのに爽やかな風が通る。大好きです。
by Mineosaurus (2009-11-17 21:37) 

mamire

荒れた心がしっとりと落ち着いていくような演奏です。
雨の日の夜はこんな曲を聴いて過ごすのもいいです。
by mamire (2009-11-17 21:39) 

SilverMac

フォーレはRequiemだけ持っています。CDで聴く音楽は、アナログの味は出ません。
by SilverMac (2009-11-17 23:17) 

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