素晴らしきアンダンテ [音楽]
モシュコフスキー/ピアノ協奏曲ホ長調op.59
第1楽章 モデラート
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 スケルツォ:ヴィヴァーチェ
第4楽章 アレグロ・デチーゾ(決然と)
『ショパン以降ピアノのためにいかに作曲するかを知っていた唯一の作曲家である』
モーリツ・モシュコフスキーに対するポーランド初代大統領であり、偉大なピアニストであったパデレフスキーの言葉である。正確に記憶していないがこのような意味合いだったと思う。
言い得てる。
モシュコフスキーはドイツの作曲家ということになっているけれど、出身はポーランドであり、1854年に生まれている。
ショパンを継ぐものである。
非常に多作の作曲家であり、現在は忘れられているけれど、当時1880年くらいから死の1925年までは非常に尊敬を集めた作曲家であった。
ほとんどのピアノ曲が小品なのだが、『2台のピアノのためのスペイン舞曲集』であるとか、ラフマニノフやホロヴィッツがよく弾いていたアンコールピースの練習曲集は有名である。(アレほどのピアニストでないと弾く気にもならないような超絶技巧です。)
また、このピアノ協奏曲はオーケストラは何て事はないのだけれど、ピアノだけでとことん聴かせるもの凄まじい才能を感じさせるものである。
弾き飛ばすような上滑りの協奏曲ではなく、ピアノの存在感がすごい。
全ての楽章それぞれに面白さがあるけれど、ボクが惹かれるのは例によって緩徐楽章。
刻まれる管弦楽のポーズの多いフレーズがベートーヴェンのような雰囲気で高まってゆく。
下降すればベートーヴェンの交響曲第7番のスケルツォのようだ。
あれほどのリズム感はないけれど、少なくとも彼の中にベートーヴェンがいたのは間違いないよう。
そのしばらく後にテンポが変化する部分。弦楽が旋律をつなぎはじめるとき、ピアノが突然ただ一度だけ、『嘆きの歌』を歌う。
ベートーヴェンのピアノソナタ第31番がほんの数瞬耳をよぎる。
決してとってつけたようなものではなく、音楽はそれを境にして変化に富む流れを作り始め、ピアノのジャマを極力しないように抑えられたオーケストラの弦楽合奏の中に非常に自然な形でピアノが歌う。
そこから動き始め、次第に高ぶってゆくそのクラマックスのドラマティックなこと。
和音をつかむ手がもっと明晰で強靱であればと、このYouTubeの演奏で十分だとは思いつつ贅沢を言ってしまう。
アンダンテのリズムでピアノは終始テンポを維持し続ける。
第4楽章も好きだけど、このアンダンテがやたら気に入っている。
さてさて、唐突に顕れるアリオーゾ・ドレンテのフレーズが聞こえましたでしょうか?
Moritz Moszkowski: Piano Concerto in E major; Suite for Orchestra
- アーティスト: Moritz Moszkowski,Antoni Wit,Polish Radio Orchestra & Chorus Katowice,Markus Pawlik
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 1998/08/25
- メディア: CD
Anton Rubenstein: Piano Concerto No. 4; Moritz Moszkowski: Piano Concerto in E major
- アーティスト: Moritz Moszkowski,Anton Rubinstein,Leonid Grin,Tampere Philharmonic Orchestra (Finland),Matti Raekallio
- 出版社/メーカー: Ondine
- 発売日: 1994/06/28
- メディア: CD
The Romantic Piano Concerto, Vol.3
- アーティスト: Moritz Moszkowski,Anton Rubinstein,Franz Xaver Scharwenka,Sigismund Thalberg,Hans Richard Stracke,Othmar Maga,Richard Kapp,Hamburg Symphony Orchestra,Philharmonia Hungarica,Westphalian Symphony Orchestra,Michael Ponti
- 出版社/メーカー: Vox
- 発売日: 1992/11/04
- メディア: CD(他にアントン・ルビンシティン、シャルヴェンカ、タールベルク(ピアニスト、ウィルヘルム・バックハウスの師匠)が聴ける)Youtubeの演奏はこれですね。
Mineosaurussさん、こんばんは。
Niceとコメントありがとうございました。
by uryyyyyy (2010-02-15 21:58)