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排出口の怪物 [音楽]

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ブリッジ/ガーゴイル

西洋建築、寺院や古い佇まいの四肢造りの建築には雨樋の水を屋外に出すためにひと工夫ある。
家の中の禍々しい気を雨と共に外に流し出すという、ちょっと東洋的な想像をたくましくしたくなるほど、その怪物は禍々しい。
多くは背中にコウモリのような翼を持っていて昼間は陽の光を浴び石化ししているが、真夜中にそれは動きだし、屋根から離れて闇を飛翔する。
ガーゴイルという言葉の語源にはうがいや水が雨樋を通るときのガラガラ音から来ているそうだ。

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機能的な建築物の一部であるが、排出口の役割を持たない、ただの装飾的なモンスターの彫刻は『グロテスク』と呼ばれる。
ガーゴイルはその姿の異様さからいくつかの映画の主役ともなっている。
エンパイアステートビルの屋上に巣くう謎の怪物の映画(超C級のモノクロ映画だった)も確かそうだった。
ついでに思い出したけれど、ハリウッド版の『ゴジラ』のラストシーン。
破壊されたマジソンスクウェアガーデンの瓦礫の中にミサイルで全て焼き尽くしたはずの『ゴジラ』の卵が残っているシーンは、このモノクロ映画のラストシーンとそっくりで、多分パクったんでしょうね。
ローランド・エメリッヒ監督は間違いなくアレを観てるはずです。
えー、このフランク・ブリッジのピアノ曲の方は、印象的には雨樋を通る雨水の流れを描いているようにも思える。
禍々しさのない非常にクリアな夜空に群雲を銀色に縁取りながら限りなくクロに近い藍と金の光の中を音もなく飛翔し、ふわりと尖塔の高みに留まって羽を畳んで下界を見下ろすモンスターと冴えた月を印象的にとらえたものとも感じられなくはない。
現代音楽の音列を持ちつつ、そこには不思議と絵画的な近代の印象を感じさせる。
ブリッジという作曲家はイギリスの音楽家の中でもアクが強く、様々な顔を持つけれど、こういう手も持っているのです。

 


 

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コメント 3

Silvermac

グロテスクの語源ですか。
by Silvermac (2011-02-06 06:55) 

リュカ

ガーゴイル、大好きです^^
うちには、指をくわえているbabyガーゴイルの置物があります。
ゆずに落とされて、足の指が欠けちゃったんですけどね^^;
by リュカ (2011-02-06 13:02) 

Mineosaurus

Silvermac さん。確かそう聞きましたね。最近はガーゴイルも雨樋から離れて勝手にモンスターとして活躍しているのでなにがなんやらわからない状態です。
リュカ さん。ガーゴイルもそうですが、恐竜好きなんですね。もうかなり前ですが、ジオGにも画像提供したことありましたねえ。ボクも愛読者です。
by Mineosaurus (2011-02-06 21:57) 

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