余技の本気

ナープラヴニーク／ロシア幻想曲ロ長調OP.39

2012年一曲目 は正月早々から少しこてこて。

エドワード・ナープラヴニーク。
指揮者として有名で、作曲家としては作品も少ない。
チャイコフスキーの第６交響曲の改訂を行い、それは改竄とまで評されるが、それなりの説得力があり、現在一般的に演奏される悲愴交響曲は彼が改訂したものである場合が多い。
チェコに生まれているが、ロシア人作曲家の作品を多く演奏している。
室内楽も管弦楽曲もメランコリックな作風で、ボクもそうなのだけど、やや食傷気味になるほど哀愁を帯びている。
ロシアっぽいといえばこの曲が一番。
ピアノと管弦楽のための幻想曲となっている。
２０分足らずの曲で、歌を除いて彼の作品でよく聴く作品３８のメランコリー以外ではたまに耳にする。
でも、耳にするのは本当は彼の作品の方ではなくて元歌の『ヴォルガの舟歌』の方である。
例の「エイコーラ、エイコーラもひとつエイコーラ」ってやつ。
土臭くバタ臭くいかにも土着の労働歌で、確か日本ではダークダックスのおじさん達が歌っていた。
ジジイが小学校の頃はもう知っていたからずいぶんと前の話だ。
その歌をモチーフとして書かれたこの作品を初めて耳にしたときは思わず笑ってしまった。
うん。これはロシア幻想曲以外の何ものでもない。
ナープラヴニーク（正しい読み方はこうなのかボクはよく知らない）は１８３９年に生まれ、２０世紀まで生きていた人でチャイコフスキーの弦楽セレナーデも初演している。
最初は「おいおい」てな感じで聴いてたけれど、しばらく聴いてるとこれはこれでひとつの見識だなと感じ始めた。
歌い出しに弦楽が高いパートではいるのでピアノの和音の連打がチャイコフスキーの協奏曲のような具合になる。
ヴォルガの舟歌が遠ざかるに連れて残ったピアノがリリカルな音を刻む。
舞曲のリズムを刻むピアノは強烈な印象はないが、元歌が強烈な曲者なのでそのイメージに引きずられてついおしまいまで聴いてしまった。
舟歌から何処まで離れて行き、また戻れるのか名指揮者の余技ではフルトヴェングラーのような晦渋さは欠片もないので取っつきやすい。

前半の部分をＹｏｕＴｕｂｅでどうぞ。

コメント 6

タイトル　思わず笑ってしまいました。　余技のつもりが　気がつけば　本職そっちのけで　がんばってる　＾＾
by 般若坊 (2012-01-03 11:01) 

あけましておめでとうございます。
昨年は拙いブログにご訪問くださりありがとうございました。
今年も宜しくお願いします。
by チョコシナモン (2012-01-03 18:05) 

何時も思うのですが、音楽評論家以上ですね。
by Silvermac (2012-01-04 08:15) 

遅くなりましたが・・明けましておめでとうございます。
今年も昨年同様不定期更新＆訪問ですが
お付き合い下さい！宜しくお願い致します。
by マンチ軍団 (2012-01-05 01:16) 

明けましておめでとうございます。初日から忙しい新年でしたが、おそらく皆さんが仕事始めをする昨日当たりからようやく休めるようになりました。
nice＆コメントありがとうございました。
頑張りましょう!
by Mineosaurus (2012-01-05 07:48) 

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