ブラームス-恋人たち再考 [映画-音楽]
ジャンヌ・モローの出演のフランス映画は1973年試写会で「バルスーズ」を観てから観るのをやめた。
ルイ・マルはベイルマンとともに大学時代のボクのアイドルだった。
「死刑台のエレベーター」で衝撃的なデビューをしたルイ・マルの2作目のメガホンが不倫映画だった。
今は「不倫」という言葉、「倫理的でない」という男女の恋を人間のモラルで括ったものを総称してしまって、不道徳の側面に貼り付ける。
でも、それを美しいと思うか醜く、淫らと思うか、それは人間という生き物のレベルをどこに置いているかによって違うんだろうね。自分たちを律するためのモラルという互を持たない発情期の動物たちとモラルという縛りの中で生活するボク達には、ボク達の作った枠の中での違いしかない。
倫理は人が作ったもので、それは必ず例外という穴がいくつも開いている。
人を愛する衝動が動物と同じレベルであるかボクは犬や猫ではないから知るよしもないけれど、若い考古学者ベルナールと短い愛を交わす人妻のモラルはここでな問題ではない。
その衝動を支える情熱は、人の心の底から埋め火のように吹き上がってくる本能だと思った。
ジャンヌは戸惑い、自分の求めていたものがそれまでの生活にはなかったのだと、気づくのではないか。
ロマンティックなブラームスの弦楽6重奏曲第2楽章はモノクロームの画面に吹き上がる男女の本能的な美しさと哀切を煽るように流れる。
ルイ・マル監督のモノローグの手法には好悪あるところでしょうが、状況の説明はヒロインの心の揺らぎがモラルの外に振れ出す瞬間を狡猾に示してみせます。
ブラームスのアンダンテ・マ・モデラートはそこでいい仕事をしている。ロマンティックであるというだけの作品とあなたはみるでしょうか、それとも…
- アーティスト: アマデウス弦楽四重奏団, アロノヴィッツ(セシル), プリース(ウィリアム), ブラームス
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2006/11/08
- メディア: CD
- アーティスト: スターン(アイザック),ブラームス,チョーリャン・リン,アックス(エマニュエル),ラレード(ハイメ),トゥリー(マイケル),ヨーヨー・マ,ロビンソン(シャロン)
- 出版社/メーカー: ソニーレコード
- 発売日: 2000/11/01
- メディア: CD
- アーティスト: メニューイン(ユーディ),ブラームス,マスターズ(ロバート),アロノヴィッツ(セシル),ウォルフィッシュ(エルンスト),ジャンドロン(モーリス),シンプソン(デレク)
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2004/06/23
- メディア: CD
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