トーマスビーチャムのディーリアス [音楽]
組曲フロリダ
ターナーの絵を見ているとディーリアスを連想するようになった。
淡彩のターナーの絵の醸す儚さと詩情がディーリアスの嫋々と繰り返す管弦の儚い魅力と重なる。
これは今もそうなのだが、ビーチャム指揮のロイヤルフィル録音したレコードのジャケットにターナーの絵が使われていたことに因るらしい。
確か一番最初に非常に惹かれたのは、ターナーが描いた日没の絵が使われていた『シナラ』『日没の歌』が入ったレコードだった。
ボクは歌曲は苦手でめったに聴かないのだが、その絵の魅力と聴いたことのない音楽への興味だけで買ってしまったことをよく覚えている。
それから歳月が流れ、レコードは誰かに売ってしまって手許にはない。
ボクは狭いけれどレコードの倉庫になっていた部屋を年頃になった長女の個室にするためにレコードをほとんど処分した。
でも、組曲フロリダはCDで残っている。
ディーリアスのこの曲はビーチャムの校訂編曲を経ているのだけれど、精神的にも肉体的にも凄く疲れていて、仕事と家庭のことで思い悩んでいた時、ヘッドフォンで聴いていて1曲目の『夜明け』のオーケストラの弱音から途中まで聴いた時不意に涙が止まらなくなったことがあって、その時の心と手をどこに置いて良いかわからないような辛さを優しく流して貰ったことがある。
薄いヴァイオレットの夜明けのイメージが勝手にボクの中で固定化されていて、疲れた時に慰撫されるヒーリング効果を持っているみたいだ。
組曲フロリダはボクのディーリアスの原点であり、いつもここへ帰る場所です。
- アーティスト: ビーチャム(トーマス),フォレスター(モーリン),キャメロン(ジョン),ディーリアス,ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1998/02/25
- メディア: CD
ターナーの画集です。
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