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室内楽の宇宙-ラヴェルの世界2 [音楽]

ラヴェル/ヴァイオリンとチェロのためのソナタ(1920~1922)

≪クロード・ドビュッシーの追憶に≫という副題を持つ。
ラヴェルの室内楽作品としてはかなりの規模といえる。
もともと第1楽章のアレグロだけがドビュッシーのための追悼記念の音楽として書かれたが、その後ラヴェルは3楽章を加えてソナタとして残している。
第2楽章 極めて早く
第3楽章レント(緩やかに)
第4楽章ヴィーヴォ・コン・スピリト
和声のドビュッシーに対して多声のラヴェルの特徴は堅持しているが、旋律の丸みは失われ、線的な鋭さが表情を支配している。

後期の過渡期に位置づけられる作風です。
まろやかな雰囲気よりは意志的な音の選択がベルクの作風を思い起こさせます。
レントのおよそ2つの楽器で奏されているとは思えない沈黙と音の切り出しにふわりと薫るエスプリを漂わせつつ、しかし、音楽はどこにも滲まず、しっかりとしたフォルムを保ったまま青ざめて立っているようです。
ボクは第1楽章のチェロとヴァイオリンに出てくるちょっとノスタルジックなテーマが引っかかっていつも聴き直します。
第2楽章のピツィカートの思い切り。
最後の楽章を支配する擦過する楽器を、まるで打楽器のように歌わせる…ハンガリー風であり、バルトークまでいってしまいそうなエネルギーを持っていて、超絶的です。
フランス音楽というようなこぢんまりした垣根はなく、これは表題や印象から解放されたラヴェルの晩年に向かった選手宣誓のような作品です。楽器構成が余り考えにくいので、演奏の記録もあまり無いんではないでしょうか。
弦楽四重奏曲か何かの余白に入れるには20分ほどのこの作品は大きすぎるような気もします。

ヴァイオリンとチェロのための作品集

ヴァイオリンとチェロのための作品集

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