抒情の奔流-ラフマニノフのシンフォニー1 [音楽]
交響曲第2番ホ短調op.27
第1楽章 アレグロ・モデラート
第2楽章 スケルツオ
第3楽章 アダージオ
第4楽章 フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァーチェ
1897年に発表された第1番交響曲が、それこそボロクソにこき下ろされ、ラフマニノフは強度のノイローゼとなり、1音符も書けなくなったと言われている。
彼の後年言われた取っつきにくい、殻に閉じこもるような性格はこの神経性の打撃が残したダメージだと言われている。
それでも、彼は精神科医Dr.ダールの暗示療法によって自信と創作意欲を、それを支える健康をも取り戻し、1901年にあのピアノ協奏曲第2番を書いた。
上昇機運に乗り始めたラフマニノフの創作活動のピークを形作った作品のひとつ。
全楽章、スケルツオまでがメランコリックで優しさとほの暗さに満ちている。
湿り気のあるしつく絡みつくような抒情ではない。北国の夢想的で際限なく広がってゆく風のようにノスタルジアとメランコリーが全曲を息の長い歌で包み込む。
第1楽章導入部で示された動機がそれであり、全ての楽章のイメージを刷り込む。
抒情の奔流は幅広く底に起伏のない大河のようにゆったりと流れ、薄暮の中の白い霧の中を滔々と移ろってゆく。
美しい旋律はひとつの波からその上の波に次々と乗って行くように際限なく生まれ続け、親しみや安息や慰撫すべき孤独をあるべき姿に洗い出して行く。
こういう大きな流れの音楽には、ずっと古くからマーラーを経験し続けているようなオーケストラがふさわしい。
弦楽の総奏の均一性のとれた自主性に溢れたオーケストラ。
そのようなオーケストラが奏でる第3楽章の民謡風の歌謡性に満ちた音楽は、親しみやすく、誰もがどこかで聴いた懐かしさに浸れるものだと思います。
- アーティスト: プレヴィン(アンドレ),ラフマニノフ,ロンドン交響楽団,ペナリオ(レナード),ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2007/08/22
- メディア: CD
ラフマニノフ:交響曲第2番(おすすめ!)
- アーティスト: アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団,ラフマニノフ,アシュケナージ(ウラジミール)
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