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ドビュッシー前奏曲集Vol.1 [音楽]


第1曲 デルフィの舞姫達
第2曲 帆
第3曲 野を渡る風
第4曲 音と香りは夕暮れの大気に漂う
第5曲 アナカプリの丘
第6曲 雪の上の足跡
第7曲 西風の見たもの
第8曲 亜麻色の髪の乙女
第9曲 とだえたセレナード
第10曲 沈める寺
第11曲 パックの踊り
第12曲 ミンストレル

ちょっとまじめに聴いてみた。
全曲を通して聴くのは久しぶりで、ほとんど約43分間。
ドビュッシー後期の最高傑作だとやっぱり思った。
印象主義的作風が完璧な形で結実したとやっぱり思った。
12曲にはそれぞれ標題が付いているけれど、それは曲の冒頭ではなく、最後に括弧付きで記載されていた。
これは印象主義的という言葉を限りなく純音楽的な観点から聴かせるための彼なりの工夫だと思う。
個々の作品の組み立てはマラルメの詩のように簡潔であり、透明感と矛盾するぎりぎりまで突き詰められた色彩によって表現されている。

ボクはこの作品に関してはミケランジェリ以外には考えられない。
モノラルでレンジの限界をやすやすと聴衆のイメージの中に解放して見せたギーゼキングの名演奏は素晴らしいものであることは間違いないけれど、近代ピアノが完璧に鳴りきった音で表現されたこの12曲の唯美と完璧は曲自体が語る全てを描き出している。
例えば有名な第8曲。フランスの詩人ルコント・ド・リールの『スコットランドの歌』に納められた同名の詩からの連想といわれる。その柔和な響きを持つ5音階が「明るい夏の陽射しを浴びて、ひばりとともに愛が歌う」後の『とだえたセレナード』の何と鋭く、強靱さの中に破綻の見えない剣のような音の美しさか!
病的なまでの色彩へのこだわり。
完璧の希求。
それはドビュッシーの求めた一面を鋭く付いている。
だからこそ、それ以外にあり得ないと言えば好悪の分かれるところだとは思う。
でも、この音色を求められる凄まじい作品達についてそれぞれの特徴に合わせた音色をここまで用意できるのは、ミケランジェリという異能のピアニスト以外にはないのじゃないか。 
ここでひもとかれる詩は多岐に渡り、ドビュッシーの曲の解釈についても、アルフレット・コルトーやマルグリット・ロンなどの第一人者を自任する錚々たるピアニストがそれぞれの一家言を開陳している。ボードレールあり、モンマルトルの場末のカフェのモティーフあり、なおアレあり、これあり、世俗と幻想に溢れ、曲はどこから聴いても完結する。
ミケランジェリはそれをどこから聴いても違わない完成度で聴かせる。

ドビュッシー:前奏曲集

ドビュッシー:前奏曲集

  • アーティスト: ギーゼキング(ワルター),ドビュッシー
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2008/01/23
  • メディア: CD
ドビュッシー:前奏曲集 第1巻、映像第1集、第2集

ドビュッシー:前奏曲集 第1巻、映像第1集、第2集

  • アーティスト: ミケランジェリ(アルトゥーロ・ベネデッティ),ドビュッシー
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2008/01/23
  • メディア: CD
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