若きショパンのトリオ [音楽]
ショパン/ピアノ三重奏曲ト短調OP.8
第1楽章 アレグロ・コン・フォーコ
第2楽章 スケルツォ:ヴィヴァーチェ
第3楽章 アダージオ・ソステヌート
第4楽章 アレグレット:ロンド
ショパンの室内楽はきわめて少ない。ピアノはチェロを伴うものが多いが、チェリストとの関わり合いに印象的なモノがあったようだ。
ここでもトリオはヴァイオリンを控えめにチェロとピアノが魅力的に絡む。
初期のロマンティシズムの重厚さの中に煌めくようなピアノのパッセージが駆け抜け、その憂愁の音色はショパンでしかあり得ない即興性と天分に満ちている。
この曲が今日あまり顧みられていないのは第1楽章冒頭の美しい旋律以外に目立った動きのないヴァイオリンと他の楽器とのバランスのせいなのだろうか。
それとも、スケルツォのあまりの優美さが舞曲的なしなやかさを追いすぎていると思われるからか。
確かにスケルツォというベートーヴェンによって刷り込まれたボクのリズムのイメージとはずいぶんかけ離れている。
ショパンはそこをワルツで終える。
第3楽章は魅力的な歌を持つ。幾分メランコリック過ぎるかと思うほど、ショパンのピアノは雄弁でヴァイオリンも結構いけてると思うのだけれど、何故か薄い。
天才の中で成熟していない音楽が、いきなり瓶を割られて流れ出したようだ。
でも美しい。
第4楽章のト短調のロンドは主題をボクはどこかで聴いているのだけれど思い出せない。
ただ、これはやはり作品番号を与えられるだけの魅力のある作品です。
決して習作などではない。
この最終楽章のラストの主題を総奏するダイナミックス。
閃きと詩のような空間が音をつないでいる。
Chopin: Polonaise brilliante; Cello Sonata; Piano Trio
- アーティスト: Yo-Yo Ma,Frederic Chopin,Emanuel Ax,Ewa Osinska,Pamela Frank
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 1994/09/22
- メディア: CD
名前が知れているアーティストのトリオだけれど、こなれてない。どこかよそよそしい。チェロソナタを聴くべきCDかも知れない。
Chopin, Smetana, Dvorak, Ravel: Piano Trios
- アーティスト: Sviatoslav Kushnevitzky,Frederic Chopin,Antonin Dvorak,Maurice Ravel,Bedrich Smetana,Lev Oborin,David Oistrakh
- 出版社/メーカー: Urania
- 発売日: 2008/06/24
- メディア: CD(作品のどこ伴い弱さをあくの強さでカバーしている。素晴らしい演奏です。)
- アーティスト: Fontenay Trio,Bedrich Smetana,Fryderyk Franciszek Chopin
- 出版社/メーカー: Apex
- 発売日: 2002/08/26
- メディア: CD
Chopin: Cello Sonata; Grand Duo Concertante; Introduction and Polonaise brillant; Piano Trio
- アーティスト: Jiri Barta,Frederic Chopin,Martin Kasík,Jan Jr. Talich
- 出版社/メーカー: Supraphon
- 発売日: 2007/10/30
- メディア: CD
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