モーツァルティアーナ [音楽]
この間、フリードリヒ・グルダのモーツァルトCDを2組紹介したときに、一度記事がエラーで消えてしまってからの再現だったので、ニ短調のピアノ協奏曲の第1楽章のカデンツァ部分だけ取りだして
紹介したと思っていたのに、何と、紹介し忘れていました。
いかにも聴いて下さい風な文章を載せておいてまことに申し訳ないことでした。
興味のある方は再度ここへ飛んでくだされば、今度はアップロードしてあります。
http://m-saurus.blog.so-net.ne.jp/2009-10-05-2
えー、冒頭モーツァルトをやってしまったものだから、今日はモーツァルトで行こうかとも思いましたが、少し捻ります。
チャイコフスキー/組曲(第4番)ト長調「モーツァルティアーナ (Mozartiana)」作品61
第1曲 ジーグ(原曲K574小さなジーグ)
第2曲 メヌエット(原曲K355あるいはK575bメヌエット)
第3曲 祈り(原曲 K618モテット『アヴェ・ヴェルム・コルプス』リストピアノ編曲版)
第4曲 主題と変奏(原曲K455グルックの歌劇『メッカの巡礼』の主題による10の変奏)
チャイコフスキーは管弦楽の組曲を4セット残している。
それぞれは独立していて各々の曲数は異なる。
特に1884年に作曲された第4番とされるト長調の組曲は4曲で構成され、Mozartiana(モーツァルティアーナ)と名付けられている。
その名の通りモーツァルトの曲を4曲集めて編曲したもので、純粋にチャイコフスキーの作品とは言えないかも知れないが、彼が弦楽セレナードに込めたモーツァルトのセレナーデへの深い敬意から推して、この作品の編曲の仕方にもモーツァルトに対する彼の憧憬に近い敬意が込められている。
最初のジーグも快活でありながら優しい。
慈しみに溢れた音楽になっている。
4曲全てが原曲のイメージを両手で大切に掬い取って柔らかなビロードの上に移し替えたようで、そこにはチャイコフスキーのロシアの血の濃いダンディズムは影すら見えない。
第3曲の『祈り』はモーツァルトのモテットの名曲『アヴェ・ヴェルム・コルプス』をリストがピアの用に編曲した罰当たりな作品をもう一度管弦楽に編成している。
この曲のもつ物静かで目を閉じている心の、触れれば確かな温もりが伝わってくるような、明澄な世界がボーイソプラノの持つ純粋さには及ばずとも、十分に美しく暖かく仕上がっている。
チャイコフスキーはどうしても直接このK618を編曲できなかったのでしょうね。
原曲には手を触れずに自分の心根を素朴に表現しています。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
第4曲に変奏曲を持ってきてのは1,2,3曲と続く静謐の流れに動きを与え、チャイコフスキーらしさがのぞける部分です。
それでも、彼はモーツァルトの作った構成に傷つけることを極端に怖れているかのように大切に扱っています。
モーツァルティアーナというのはモーツアルト名言集とか名句集というような意味になるのでしょう。古典的な構成を借りてチャイコフスキーが密やかな思いの丈を綴った記念の組曲です。
- アーティスト: 安宅薫,日本フィルハーモニー交響楽団,フランス国立管弦楽団,ソフィア・ゾリステン,スーク(ヨゼフ),ミュンヘン放送管弦楽団,プラハ室内管弦楽団,シンフォニア・ヴァルソヴィア,イタリア合奏団,ラリュー(マクサンス)
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2000/04/21
- メディア: CD
- アーティスト: ウォルトン,ヴィヴァルディ,古川展生,プラハ室内管弦楽団,東京都交響楽団,シュミット(アンネローゼ),クリヴィヌ(エマニュエル),ラリュー(マクサンス),井上圭子
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2003/07/23
- メディア: CD
- アーティスト: ケンペン(パウル・ファン),チャイコフスキー,ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2006/12/20
- メディア: CD
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