隠れ人のヴァイオリン [音楽]
マックス・レーガー/ヴァイオリンを弾く隠者op.128
ドイツ・オーストリアの19世紀から20世紀を通じ非常に重要な作曲家だが、オルガニストとして、またその分野の作品の素晴らしさに他の才能が隠れてしまうような評価がある。
ボクが初めて聴いたのはよりによってクラリネット五重奏曲でした。
晦渋の極地。(*´∀`)/
でも、未だに愛聴していてひょっとしたらこれはモーツァルト、ブラームスのそれに並ぶだけの評価をさるべきではないかと思ったりしています。
ただ、あまり自己評価に控えめな人ではなく、ちょいと押しが強すぎるかとも思うけれど、それだけの才能を持った人だったんですね。
反面たくまないユーモアがあって、ちょっとした編曲なんかにすっとぼけた味があります。
彼の無伴奏チェロ組曲を聴くと、現代に蘇ったバッハの息づかいが聞こえます。フーガやその他の対位法的手法に関してはバッハ以来の才能であろうし、変奏曲については彼の完成度に達している作曲家はブラームスやベートーヴェンを例に出すほかないような気もする。
彼はシンフォニストではなかったけれど、レパートリーは多岐に亘っていて歌劇とシンフォニーをのぞいて全ての分野に作品を残している。
このヴァイオリンと管弦楽のための作品はボクの知らなかったナイーヴな側面を聴かせてくれる作品でした。
まるでイギリスの風景を見るような抒情的な淡さを持っていて、旋律の線の扱いが非常に細かい。
ドイツロマン主義に回帰したというよりも、深い森を具象してゆくヴァイオリンの密やかな流れと風景を立ててゆく弦楽と、わずかで控えめな管楽器が、苔むした森にもれ注ぐ陽の光と朝露に濡れる木々の若葉を描出する。
レーガーの入り口としては特殊なのかも知れないけれど、要は彼の中にこういう一面があるということです。
ヒンデミットやプロコフィエフが心酔し、新ウイーン楽派がこぞって研究したマックス・レーガーの紛れもない一面であり、こういう作品を聴いていると彼はシンフォニーを書こうと思えばいつでも描けたけれど、その必要を感じなかったのだろうと思えてくる。
密やかで地味で抒情的な作品だけれど、ひとつ一つの楽器の扱いがもの凄くシビアでブレがない。
YouTubeで全曲が聴ける。
ちょっと古いのか序奏の部分にエラーがあるけれど、美しい演奏です。
この曲が入ったCDをボクはどこかで聴いているのですが、思い出せません。
「マックス・レーガー」覚えておきたい名前です。
曲は、難しいものかと思いましたが、わりと聴きやすいので安心しました。ヴァイオリンの弾くメロディが綺麗ですね。
お気に入りにしたいです。ご紹介有難うございます。
by matcha (2010-02-01 22:20)
レーガーは基本的にはロマンティックなのです。
彼はブラームスを継ぐものという評価を受けていました。確かにその実力はあるのですが、近代の聴衆はあの緊密なロマンティックな音構成をもう一人聴き続けるほど辛抱強くなかったようです。
理屈っぽく、緻密でうち解けにくい音楽がい多いレーガーですが、傑作もまた多いです。この曲は、描写的でシンプルですね。
気分がよかったんでしょうね、きっと。
by Mineosaurus (2010-02-01 22:59)