トッカータ [音楽]
ものの本によるとトッカータって言うのは鍵盤楽器が開発されて以降、その鍵盤楽器(例えばそれはチェンバロであったり、オルガンであったり)の調子を見るための試し弾きの曲で、初期のバロック期以前に既に存在していたそうです。
初期のバロックというとルネッサンス末期ですからそれ以前に由来するとなれば、何とも眼差しが遠くなってしまいます。
試し弾きのための曲ですから最初は即興的なものだったのでしょうね。
トッカータという楽曲形式ではなくても、リュートやビウエラみたいな弦を弾くいわゆる撥弦楽器というものにも同様な役割をする楽曲があったとのことです。
まあ、当たり前といえばそれまでですが、鍵盤の戻りや音の切れ、を聴き取るためには早いパッセージが含まれていなければならないだろうし、音色の微妙な変化を再現できるかどうかというテストのためにはかなり細かなニュアンスの再現を求められるフレーズがあったのでしょう。
規則正しい音量を繰り返すことも重要ですね。
様々な作品が生まれては消えてゆき、後期バロックにいたって明確な芸術的なスタンスを確立するバッハの登場でそれ以前の作品の持つ特徴が統合されます。
ボクはオルガンをあまり聴かないので、フレスコバルディやモンテヴェルディなんかを通過して顕れたバッハからの印象しかない。
だから、オリジナリティがバッハにあるのかそれ以前の芸術家にあるのかよくわからないけれど、後期バロックの音楽を現代のピアノで聴く行為に何のこだわりもなく入って行けるだけの普遍性を持っているのは、今のところバッハだけですね。
バードやギボンズをグールドが引いたり、スカルラッティをホロヴィッツやミケランジェリが弾くのを除いてはね。
シューマンやラヴェルやプロコフィエフになってくるともうトッカータ自体の内容が変貌している。
音の中に込められているのが規則性や耐久性ではなく、情動や個性に取って代わられる。
トッカータは初期に持っていた役割から解放され、一人で歩き始める。
バッハには規則性と耐久性だけではなく、数学にきわめて近い構築性がありながら人の体温がある。
弾く人の個性を反映させ、パトスを吸収する。
驚くほどの多様性。
バッハのBWV911は僕の好きなトッカータで、よくグールドで聴いているのですが、初めて聴いたのはピアニストとしてのフェインベルクでした。
響きは現代のピアノの特徴を素直に持っているのですが、今聴くとスタイルは少し古いと思うけれど、
弾く人の個性は見事に作品に刻まれています。
バッハ/トッカータハ短調BWV911
J.S. Bach: Toccata, Partita, English Suite / Martha Argerich
- アーティスト: Johann Sebastian Bach,Martha Argerich
- 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
- 発売日: 2000/06/13
- メディア: CD
Samuil Feinberg in Sound and Thought
- アーティスト: Johann Sebastian Bach,Alexander Scriabin,Sergey Rachmaninov,Franz Liszt,Frederic Chopin,Samuel Feinberg
- 出版社/メーカー: Arbiter
- 発売日: 2006/01/24
- メディア: CD
応援ポチ!ありがとうございます~
by みうさぎ (2010-03-08 12:23)
何時もお世話になっています
by さーやん (2010-03-08 17:26)
バッハ いいですね
by be-sun (2010-03-08 18:16)
超がつくほど大好きなトッカータです。
フェインベルクのは初めて聴きました。
フーガがとてもロマンチックですね。
19世紀のバッハという感じで魅力的だと思いました。
by glennmie (2010-03-08 22:56)