熱い20世紀 [音楽]
エルンスト フォン ドホナーニ/ヴァイオリン ソナタ第1番嬰ハ短調 op.21
第1楽章 アレグロ・アパッショナート
第2楽章 アレグロ・マ・コンテネレッツァ(優しく愛情を込めて)
第3楽章 ヴィヴァーチェ・アッサイ
エルノ・ドホナーニは20世紀の演奏家であり作曲家であった。
スタイルは後期ロマン派特にブラームスの重さと目の詰んだ曲想を持っている。
現在活躍している指揮者クリストフは彼の孫に当たる。
僕の大好きなピアニストであったゲーザ・アンダは彼の愛弟子だった。他にお弟子さんはアニー・フィッシャー、指揮者ゲオルク・ショルティやフレンツ・フリッチャイなども門下生に名を連ねている。
ドホナーニはオーストリア=ハンガリー二重帝国時代に生まれたけれど、ハンガリー人として当時のバルトークやコダーイのような愛国的芸術家とは異なる政治に超然とした態度を取り続けたが、帝国側からはバルトークやコダーイと同じ左翼芸術家とみなされていたようだ。
彼は最初の作品であったピアノ五重奏曲がリスペクトしていたブラームスから絶賛され、文字通り、ブラームスへの敬意を貫いた作曲家であった。
なのに彼自身多くの演奏を録音に残しているにも拘わらず、シューマンやベートーヴェンに比べてブラームスの作品は少ない。
敬して遠ざけたのかなあ…?
彼の室内楽の中で記録されているヴァイオリン・ソナタはこの一曲である。
エネスコやバルトークとカップリングでよく録音される。
第1楽章はやはり20世紀の洗練を纏いつつも、熱気にはブラームスのような厚みを孕んでいる。
バルトークのような民族的な作風ではなく、ドイツ・オーストリアの音楽の中にハンガリーの血の流れはひっそりと閉ざされている。
激情的なパッセージが決して俗っぽい見栄にならず、品格を持った中間部のカンタービレはヴァイオリンの高音の悲鳴をゆとりを持って抑制しつつ、表面静かな歌になる。自制された精神力を感じる楽章です。
第2楽章もアレグロですが、歌い出しの歌謡的なフレーズが変奏され、どこかでブラームスのヴァイオリンソナタが聞こえてくるようです。
ピツィカートの後に再現される主題は形を変え、コケットなピアノに絡みつつ楽章を閉じる。
第3楽章の生き生きとした響きが唯一作られた年代にふさわしい着想を持っているようだ。
決して19世紀ロマン派の生き残りとか言うレベルではなく、人間の本質が持っている短調の旋律への共感を素直に示した作品である。
全ての熱情が吐き出された後のコーダは素晴らしく美しい!
その第3楽章を
Enescu, Dohnanyi, Janacek: Violin Sonatas
- アーティスト: George Enescu,Ernst von Dohnanyi,Leos Janacek,Daniel Chriss,Jodi Howard,Weilerstein Duo,Vivian Hornik Weilerstein,Donald Weilerstein
- 出版社/メーカー: Arabesque
- 発売日: 1993/08/11
- メディア: CD
Ernö Dohnányi: Violin Sonata in C sharp minor; Léo Weiner: Violin Sonatas Nos. 1 & 2
- アーティスト: Ernst von Dohnanyi,Leo Weiner,Seymour Lipkin,Oscar Shumsky
- 出版社/メーカー: Biddulph
- 発売日: 1995/01/30
- メディア: CD
おはようございます★
ブログにコメントありがとうございました♪
私は楽器や音楽には疎いのですが、
先日、友人のヴァイオリンの演奏を生で聞いて
とても感動しました。
少しずつでもいいので、クラシックなど聞いていきたいなと思います。
by 今造ROWINGTEAM (2010-04-08 09:13)