ステーンハンマルのロマンス [音楽]
ちょっと繁忙気味で皆さんのブログのご訪問自体まばらになっております。ご容赦下されませ。
ヴィルヘルム・ステーンハンマル/ヴァイオリンと管弦楽のための2つの感傷的なロマンスより
第1番 イ長調 OP.28-1 アンダンティーノ
ボクはあまり高音の弦音はよほど純粋に結晶化されていないと耳に刺さって聴きづらくなるんだけれど、この高音を自由に飛翔するヴァイオリンは不思議と苦にならない。
と言うか、この世俗の諸々のしがらみから抜けきった純化されたリリシズムの峻烈な歌の美しさにはただ聴き入るしかない。
何処かにメランコリックでモノクロームの少し黴の匂いのする旋律がヴァイオリンという楽器のなつかしい響きの特徴だけれど、調性の中にあってこれほど気品のあるヴァイオリンの歌を聴くのは稀だ。
決してヒステリックになることなく、パトスに倦んだ気怠さもない。
凛としてその白面の顔を凍るように澄み切った大気に晒して惻々と忍び寄る哀しさが取り憑こうとしても触れることもできないような気高さがある。
シベリウスの上質の作品にある資質と同質の気高さと抑制された高揚がボクにとってあまり馴染みのなかったこの作曲家を一気に鼻先まで近づけた。
本当に山っ気がなくて清々しい。
この人もまたニールセンやシベリウスと同じ北の名匠です。
この人のピアノ曲や協奏曲、交響曲、今、本気で聴いております。
Wilhelm Stenhammar: Piano Concerto No. 1; Two Sentimental Romances; Florez and Blanzeflor
- アーティスト: Peter Mattei,Wilhelm Stenhammar,Paavo Järvi,Malmö Symphony Orchestra,Love Derwinger,Ulf Wallin
- 出版社/メーカー: BIS
- 発売日: 1993/08/27
- メディア: CD
Swedish Romantic Violin Concertos - Berwald, Aulin, et al
- アーティスト: Franz Berwald,Wilhelm Stenhammar,Tor Aulin,Niklas Willen,Swedish Chamber Orchestra,Tobias Ringborg
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2000/01/25
- メディア: CD
これも美しい曲ですね。19世紀サロンの香がします。
by アヨアン・イゴカー (2010-04-25 23:18)
「感傷的なロマンス」という興味惹かれる題名がいいですね。
1910年ってこの作曲家にとって大事な年だったようですね。
この方の新しい息吹みたいなものも感じられる、飾り気がなく絹糸のような
綺麗な作品だと思いました。
by matcha (2010-04-26 12:01)
アヨアン・イゴカー さん。matcha さん。コメント有り難うございました。
matchaさんのおっしゃるとおり、1910年はステーンハンマルがシベリウスやニールセンのアドバイスを受け、ドイツ後期ロマン主義と訣別した年です。彼の涼やかなヴァイオリンを聴いているとロマン主義の縛りがはずれたローカリティが素晴らしく気品を持って顕われているようです。
by Mineosaurus (2010-04-26 19:27)
すっかりご無沙汰していて、にゃあちゃんの絵を描いていただいているなんてちっとも知りませんでした。
本当にありがとうございます。
頂いて帰って、みなさんにご報告させて頂きました。(^^)
mineosaurusさんは高知県のご出身なんですか?
仰るとおり、私も高知県四万十市中村の生まれです。
奇遇ですね。(*^.^*)
by きいちゃん (2010-04-27 13:29)