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天使の組曲から [音楽]

アストル・ピアソラ/天使の組曲第2曲 『ミロンガ』

天使の組曲という標題で4曲が纏められている。
その第2曲『天使のミロンガ』
正式にはこの曲はピアソラのバンドネオンを中心とした五重奏曲の形式が原形と思う。ギターや他の独奏楽器、弦楽アンサンブル、様々な形で演奏されるが、それぞれに異なるスピリットが入っていてしっかりした個性を発揮する。
もっともクラシックな形で演奏されるときはピアノトリオで演奏されることが多い。
特にヴァイオリンがよく歌う急-緩-急の第3曲『天使の死』はタンゴを離れた古典との融合の中に疾走する炎の影が美しい。
対照的にこの『天使のミロンガ』はタンゴの形式としては多様な要素を持っているようで4拍のテンポの速いものが主流のようだけれど、たまにゆったりしたものがある。こういうのは異端というのではなくて、テンポの速くて強い音楽と異なる呼び方をするらしいのだが、そこら辺ボクは聴き込んでいないのであまり深入りしていない。
この静けさはタンゴの持つ情念や汗の匂いのするロマンティシズムからあまりにもかけ離れていて、濃密な空気感の中に異質の精神世界が漂っているような感覚を覚える。
アダージオのロマンツェというようなところか。ピアソラ自身のバンドネオンもボタンのタッチが凄く軽くて浮遊するようなヴァイオリンの旋律の切れ目にひっそりと流れ込んで行く。第3曲にあるようなチェロの弦を擦り上げてゆく情熱的な表現はなく、黒のスーツと深紅のドレスがわずかな照明の中でひっそりと舞うような、急がない時の流れに心が寄り添う。
これもいいなあ。

ちなみにこの組曲は第1曲『天使の導入部』
         第2曲
         第3曲『天使の死』
         第4曲『天使の復活』の構成を取り、悪魔の組曲(2曲)と対にされることがある。

 

 

 

 

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