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ソナチネ [音楽]

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ベートーヴェン/ピアノソナタ第25番ト長調OP.79

第1楽章 プレスト アラ テデスカ
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 ヴィヴァーチェ


1809年頃のベートーヴェンは9年後に第29番の長大で峻厳な後期の充実期にはいるまであまりスケールの大きなピアノ曲は作っていない。
27番や28番、後者はすでに後期の雰囲気があり、実際には年代的に言っても後期の中に入れるべきかもしれない。充実したロマン期の旋律美を裡に含んだまま、その眉根にはきわめて私的に捉えた啓示に応えるべく深い皺が刻み込まれている。
その流れの中にあって、この作品は軽く心の表層を漂う。
この頃のベートーヴェンの作品にはこういった小さくて簡潔なものが多いけれど、この作品79は新たな道に分け入る前に身に付いたロマンティシズムを一端しまい込むための小さな器である。
主情的でメロディアスだけど重い歌が多い時期を聴くには気分がちょっと疲れていたり、作品106の長大な宇宙を聴くには大いに集中力を欠くときに、この曲はちょうどいい。
『ドイツ風』ってどんなだか判らないけれど、要はこういうリズムなんだろうね。
この楽章のテンポはギレリスのが好きなんだけれど、バレンボイムもいい(ただし、年とってからのライブでは少し重すぎる。)頻繁に交差する右手と左手のパッセージが凄く楽しげで無骨でコロコロした指先が弾いてるとなんとなく見ていて口元が緩んでくる。まだ女性が弾いた演奏で『いいな』と思ったことがない。
第2楽章はここでもYouTubeの動画で紹介した。
まるでメンデルスゾーンの舟歌のようだけれど、決して彼は舟歌を書いたつもりはないのだろうね。
中間部のほんの少し湿り気を帯びた心象風景は語るのは簡単だけれど、本当に懐かしくて思いが深くて綺麗ですね。
ツェルニーを弾くように聞こえればいいというものではない。
恐ろしく短いロンド形式の第3楽章。短いくせに練られている。
軽快な主題が伴奏形の変奏だけでふっつりかき消える。
小さな作品だけに終わり方まで洒落ている。
もともと『ソナチネ』とされている曲でことさら25番などと銘打たなくてもよかった作品かも知れない。
でも、心の中にある音楽を取りだしてくる才能って凄いね。
ある意味男っぽい曲といえなくもない。
無骨な漢が背中を丸めて一心に砕いている思いが愛おしい。

 

 

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コメント 1

rantan-nya

そういえば、ベートーベンと女性の演奏者、何となく結びつかないです・・
ざわつく気持ちが少し落ち着きました

by rantan-nya (2011-03-26 23:19) 

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