真打：恐竜じじいになっても．．．：SSブログ

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真打　[音楽] [編集]

Ｓｉｒ　チャールズ・スタンフォード/チェロ・ソナタ第２番ニ短調op.39

このブラームスを思わせる作風を持つ作曲家は多くの交響曲、協奏曲、室内楽、歌曲と様々な分野で作品を残しながら、実際に聴くことがほとんどできない。
きわめてローカルな扱いをされている。
１８５２年にダブリンに生まれ、１８８３年にロンドンに王立音楽大学が開設されて以来チャールズ・ヒューバート・パリーと共に両輪となって教授を務めた。その功績により１９０２年ＫＢＭに叙されている。
彼の下を巣立った生徒には、後のイギリス音楽を確立して行くホルストやヴォーン・ウィリアムズ、僕の大好きな作曲家であるフランク・ブリッジなど２０世紀にいたって国際的評価を確立してきた作曲家が多く存在する。
このニ短調のチェロ・ソナタは作品としての完成度に比してあまりにも軽視されている。
最近ＹｏｕＴｕｂｅでようやく第２番のこのソナタを見つけたけれど、その他の室内楽はほとんど聴くこともない。
クラリネッターは彼のソナタや協奏曲をご存じかも知れない。
３楽章のこのソナタはボクのテープに古いモノラルの録音があるのみでほとんど忘れていた。
最近ロイド＝ウェッバーが弾いているのを聴いて『ああ、こんなにいい曲だったのか』と改めて聴き惚れた。
ＣＤを探したが、ジャケット写真すらない。
静かなピアニ導かれて入ってくるチェロの主題はドイツ的に仕上がっていて旋律の中に籠められた情熱が駆け上がって行くチェロの音程に寄り添って渋い二重奏が縁取りされて行く。
ピアノに今ひとつチェロをたたき起こす気概があれば、この音楽はもう少し切れのいいものになったに違いない。
ウェッバーのチェロだってエッジが丸すぎるけれど、曲の紹介は存分に果たしている。
展開部の音楽の広がりがもっと恰幅がよいものであれば、この音楽はもっとブラームスを想起させるものになるだろう。
第１楽章のアレグロはまだ汲みつくされてはいない音楽が演奏者の背中越しに見えるようです。
弾き込みながら、音楽を育てて行くタイプの作品であるチェロソナタにとって一人の音楽家に演奏する機会があまりないと言うことほど残念なことはないでしょうね。
楽譜との対峙になり、自分の耳に自分以外のチェロが入ることが稀である作品。
１０年弾き込んだ末に録音されたなら、ボクは『その一枚でいいや』と思うかも知れない。
ＨＭＶで探した一枚はジャケット写真すらない。
緩徐楽章の色彩の少ない寂れた歌も未だ１９世紀末のノスタルジーを節度のある表情をつけて歌い込まれ、中間部の軽やかさを越えたところから
旋律の幅は広がり、今ひとつ力強く響くことができれば、心に火がつくのに。
ピアノが思うように抜けていない。これは録音にも問題があるのかなあ。
最終楽章を聴いていて考え込んでしまった。
孫弟子であるベンジャミン・ブリテンのピアノとロストロポーヴィチで聴いてみたかった。