ブルッフの佳作その1 [音楽]
マックス・ブルッフ/ヴィオラとオーケストラのためのロマンツェヘ長調 op.85
このマックス・ブルッフと言う作曲家の手によるいくつかの音楽は良く演奏されそれなりに有名である。
ブルッフは弦楽の手法とそのメロディの美しさで、同時代の著名な作曲家と比べても遜色はない。
なのに何で偏った紹介しかなされないのか不思議でならない。こういう作曲家はよくいる。
フランスではサン=サーンスがそうだね。
彼の室内楽は素晴らしく美しい。(なんで彼はチェロを扱うとあんなに技巧に走るのか判らないんだけどピアノ・トリオなんかいいよォ。
ああ、そうだ。
ブルッフだったブルッフ。
例えばこの曲。
ヴィオラと管弦楽のためのロマンツェ。
これはひょっとしたらクラリネットのための曲かも知れないなどと考えながら聴いたんだけど、旋律の懐かしい響きが瑞々しいヴィオラの持つ中高域のカンタービレを生かし切っている。
短い弦楽のオケの導入後に歌い始めるヴィヴラートの効いた、でも嫌味のないヴィオラの音色が本当に荒ぶる部分が全くない穏やかな表情のまま旋律線をオーケストラに繋ぎ、くり返しの部分から新しいラインを紡いで行く。
それは名手のためであるだろうけれど、決してこれ見よがしになることなく、ゆったりと音楽は冒頭のメロディに回帰しながらオーケストラに融合して行く。
その部分は多分ビオラ弾きの即興を受け容れるだけのゆとりで書かれているけれど、押しつけがましく聞こえないのはヒステリックに高くならないヴィオラの長所なのだろう。
くり返しに細かい味付けがされていて狭いスペースを有効に使った音楽だけれど、それを感じさせないゆとりとヒューマンな時間を生みだしてゆく。
フィナーレ近くオーボエの遠くに霞むような中に同色の音色で浮き上がる音楽は秀逸です。
Romanze - Music for Viola & Piano
- アーティスト: Claude Debussy,Manuel de Falla,Max Bruch,Paul Hindemith,Robert Schumann,Robert McDonald
- 出版社/メーカー: Bridge
- 発売日: 1990/11/12
- メディア: CD
- アーティスト: Alexander Konstantinovich Glazunov,Frank Bridge,Johannes Wenceslaus Kalliwoda,Max Bruch,Mikhail Ivanovich Glinka,Robert Schumann,Kathron Sturrock
- 出版社/メーカー: Black Box Classics
- 発売日: 2000/10/10
- メディア: CD
- アーティスト: ブルッフ,ナガノ(ケント),メイエ(ポール),コセ(ジェラール),リヨン歌劇場管弦楽団,デュシャーブル(フランソワ=ルネ)
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2002/04/24
- メディア: CD
凄い台風でした。高知はまだ暴風雨県内だそうですが、ボクの仕事場は10時頃風雨が収まりました。関西はこれからですね。それにしても最近の気候はおかしいね。
ブルッフは偶に聴きます。
by Silvermac (2011-07-20 05:41)