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変幻自在の大ソナタ [音楽]

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シューマン/ウィーンの謝肉祭の道化『幻想的情景』op.26

第1曲アレグロ
第2曲ロマンツェ
第3曲スケルツィーノ
第4曲インテルメッツォ
第5曲フィナーレ

1839年から1840年にかけての作曲。シューマンの精神に変調の兆しが見える前のドイツロマン主義文学の音化の象徴。(誉めすぎか)
作品1から23までシューマンはピアノ曲を作曲し、3曲の歌曲の後にこの作品26に手を付けている。
彼の独奏楽器の技巧と霊感が移ろう心の綾に沿って変幻自在に形を変える。
なのにこの作品の根本にはソナタ形式の要素がある。
『ロマンティックな大ソナタ』がこの曲に当初付けようとされていた名前であった。
第1曲はロンド形式変ロ長調のアレグロ。
作品中最も長い。
舞曲風で颯爽としたロンド主題に5つのエピソード。
特に第4のエピソードはどっかで聴いた。こりゃ、『ラ・マルセイエーズ』のフレーズですね。
5つのエピソード全てに異なる陰影があり、弾き手にオールラウンドのインスピレーションを求める。
楽しくもしんどい楽曲。
第2曲の最初の和音の切ないこと。
モーツアルトの24番のピアノ協奏曲の最初の和音。響きと心のレベルが等しく胸に来る。
ト短調の哀切と緩やかで美しい旋律が短いけれど非常に印象的。
第3曲はシューマンのユーモア。
緊張がほどけた後の頬の緩みが聴くものの口元に伝染する。
好きです。こういう間合い。
第4曲はこの作品の白眉。
美しく情熱的でその旋律にモーツァルトの20番の協奏曲の第1楽章がよぎる。
フィナーレのもつ疾走感は華麗で喧噪に満ちている。まつりの情景が描き込まれていて第1曲とのバランスを考えていたのだろうね。クルクル変わる音列がどれも違った気分を持っていて、その騒々しさが情景的です。
このソナタ形式のスピード感はベートーヴェン的です。
彼の血肉になっているロマン主義的傾向はそこに至る古典の中のパトスを拾い上げ、ベートーヴェンやモーツアルトの歩幅を意識しながら、自在に自分の作品をロマンティックにコーティングしている。
ソナタでも良かったんではないか。それぞれの楽曲が個性的で美しい。
ただ、
全ての楽曲全部満足という演奏にボクはまだ出会っていません。
第2曲から第4曲までの3曲をとてもよく聴かせている演奏はこのミケランジェリの1955年の演奏であると思っています。客観的ですが、そこに隠しようもないロマンティシズムがあって大好きな演奏です。

 

第2曲から第4曲

 

シューマン:彼の仮想世界

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  • アーティスト: シューマン
  • 出版社/メーカー: DIVOX
  • 発売日: 2011/02/22
  • メディア: CD

未発表ライヴ

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  • アーティスト: ミケランジェリ(アルトゥーロ・ベネデッティ),シューマン,ドビュッシー,ショパン,モンボウ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2000/11/22
  • メディア: CD

シューマン:蝶々(パピヨン)

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  • アーティスト: リヒテル(スビャトスラフ),シューマン
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1996/02/21
  • メディア: CD

シューマン:森の情景(9つのピ

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  • アーティスト: ピリス(マリア=ジョアオ),シューマン
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1995/03/25
  • メディア: CD

 

 





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