ソナタ『さよなら』

ベートーヴェン／ピアノ・ソナタ第２６番変ホ長調ＯＰ．８１ａ『告別』

第１楽章　アダージォ アレグロ　”Das Lebewohl=さようなら”
第２楽章　アンダンテ　エスプレッシーヴォ　”Die Abwesenheit=不在”
第３楽章　ヴィヴァーチッシマメンテ　”Das wiedersehen=再会”

作曲する動機が身近にあったことで音楽が率直になり一点集中する。
友であり、弟子であり、そして何よりベートーヴェンを深く理解した支援者であったルドルフ大公との別れから再会までの短いエピソードが急－緩－急の形で表現される。
最後期の作品のような降りてきた霊感が彼の内省にシンクロするような霊妙さはなく、等身大のベートーヴェンの素直な投影がある。
それだけに自身で副題を付けたんだろうし、不特定多数に向かった挨拶のようなフランス語のLes　adieuxを嫌ったのだろう。
ベートーヴェンがさようならを言ったのは唯一無二の相手に対してであり、それにふさわしい言葉が『またね』に近い『さよなら』Das Lebewohlであったのだから。
でも、『告別』という日本語が一番いけないね。『サヨナラ』くらいにしときゃ良かったんだろうに、『悲愴』『告別』『月光』とかで売りたかったんだろうかね。
第１楽章の最初の３つの音には「さようなら」の意味がこもっている。
序奏部分、主題が出てくるまでの旋律はその人を思い描いた即興的な雰囲気が素晴らしい。描写的音楽です。
『不在』と名付けられた第２楽章は第３楽章の歓喜と安堵の序章であり、時間的経過による展望の楽観が次第に心を再会に向けて行く。
仄暗い内省の隅に膝を抱えてうつむいている自我にゆっくりと仄白い光が射し込んでくるような。
この序奏的楽章があるから第３楽章は今さら聴くまでもと言う気がしないでもない。
再会、そうありたいという別れの時の願望が精神的にも経済的にも（俗っぽくなるけど）十二分にこめられている。

あんまり具体的すぎやしないかい？

ピアノはフリードリヒ・グルダ。
モーツァルトに最も適正があるのは間違いないけれど、ボクはこの人のベートーヴェンが大好きです。
全曲です。

 

 

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集3　熱情・告別・第18番

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ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番&第14番&第23番&第26番

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コメント 3

戦前の教育を受けた親父が、私が子供の頃に
当時、尋常小学校の教科書にベートーヴェンの
『月光』の物語が載っていたって話してくれました。
それはまるで、湖の映える月の光・・・今
そんな事を思い出してしまいました^^;Aｱｾｱｾ
by kontenten (2012-02-10 00:19) 

こんばんは。
告別、はそうですねちょっといいタイトルではないですね＾＾；

１０分を過ぎたあたりからがここちよく聴けました。
最近十数年振りの再会があったので、
そのことについて考えながらの拝聴となりました＾＾
by nana_hyr (2012-02-10 19:55) 

14日、20日のメンテで改善が期待できるでしょうか。(>.<)
by Silvermac (2012-02-10 20:49)