分かりやすくも、唐突 [音楽]
サン=サーンス/ピアノ四重奏曲第2番変ロ長調op.41
第1楽章 アレグレット
第2楽章 アンダンテ 、マエストーソ、マ コン モート
第3楽章 ポコ アレグロ ピゥ トスト(直ちに) モデラート
第4楽章 アレグロ
第4楽章に回帰させる主題を第1主題にするためにとても簡潔に設計されている。
第1楽章はとても思慮深く構成されている。
明快な主題の展開で、サン=サーンスの美質であるサラリとした抒情性が上手くピアノと弦楽のバランスの上で発揮され、壊すまいとするデリカシーがピアノの突出を抑制している。
そう感じる。
ピアノの穏やかな序奏の上に弦楽が歌いながら滑り出す。語尾が上がり気味の特徴的なテーマの間隔がつまり始め、それはピアノに徐々に移ってゆく。
重いチェロのフォーマットの上で堂々とした展開。演奏の力とも言えようが、ヴァイオリンとヴィオラが美しく、緊密な構成の中でフランス音楽と言うよりはフランス的に『軽快』さを取り入れたドイツ的構築の音楽という感じ。
印象派にある全方位的な光の当たり方はなく、わかりやすい。
逆に言えば旋律的美しさの継続が少なく、楽章相互間が近似している。
でも、この作品の白眉は何と言っても第3楽章でしょうねえ。
この楽章ははっきり言ってサン=サーンスの個性ではない。
ポーリッシュ・ダンスである。
フランツ・クサヴァ・シャルヴェンカがポーランド舞曲集を発表し、空前の大ヒットを飛ばしたのは1869年。このサン=サーンス大先生の作品41の6年前である。当時ドイツの出版社から発売されたポーランド舞曲集第1曲「コン・フォーコ」は100万部を記録した。CDじゃなくって、楽譜がだよ。
この第2楽章はそのシャルヴェンカの作品が露骨なほどにモチーフとなっている。
さすがに先生、実に素晴らしいアンサンブルに仕上げているけれど、ドーしても書きたかったんだろうねえ。
妙にこの楽章だけ色合いが違うんだな。力が入ってる。
音楽的には原曲を超えているけれど、この作品41のアンサンブルでやらなくてもいいような気もする。
ピークをこの楽章に持ってきたと思うのだけど、先生第3楽章でもう一度頑張る。
この楽章にいたって、サン=サーンスの特徴である協奏曲的な要素がまず、ヴァイオリンに顕れ、次にやはり彼の特異なピアノに顕れてからはもう、これはピアノ協奏曲と化す。カデンツァが入るんだよ。このピアノ四重奏曲。
プレストに近く3楽章冒頭のテーマが回帰する。
やがて全曲を循環形式で閉じるために近似したテーマが立ち上がる。この終楽章は自在な楽興に溢れ、サン=サーンスの力量がとてもよく発揮されている。内省的な弦楽にリードされて第1楽章のテーマが顕れ、フーガにつながる。
全曲が終わったて数瞬後、ブラヴォーが聞こえるような曲調です。
楽しくて円熟してるけど、ポーランド舞曲はいかにも唐突の感は免れない。
30分以上の曲なんだけど全曲紹介のみがYouTube にありました。
第2楽章は力はいってますよ。
サン=サーンス:ピアノ四重奏曲、ジョゼフ・ジョンゲン:ピアノ四重奏曲 (Saint-Saens & Jongen : piano Quartet / Quatuor Gabriel)
- アーティスト: サン=サーンス,ジョゼフ・ジョンゲン,金子陽子(P),フランソワ・ソーシャル(Vn),マルク・デスモン(Va),ルノー・ギュー(Vc)
- 出版社/メーカー: Anima Records
- 発売日: 2009/02/23
- メディア: CD
交響曲3番はよく聴きました。
by Silvermac (2012-09-05 09:05)
Silvermac さん:第3番はよく聴かれますね。私もマルティノンがパリ管の前身、パリ音楽院POが振ったのを愛聴しておりました。
by Mineosaurus (2012-09-07 06:14)