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Mozart-モーツアルト [音楽]

モーツアルト


ボクの音楽的趣味はめちゃくちゃで、それこそいろんなものが混ざり合っている。何とか勝手にCDを紹介したりしてようやくブログのいろんな使い方に目覚めてきた。難しい音楽的感想を期待されたらそりゃ荷が重い。あくまでも雑考。
 東京に住んでいたときはレコード(当時はそうなの!)だけではなく、ピアノコンサートがあるとよく聴きに行った。弦楽四重奏曲も好きだけれど、聴衆のあの、ミスを見つけてやるぞ的な緊張感が嫌いだった。もちろんそんな人はピアノのコンサートにもいた。
 ボクはチケット代分の集中はしていたけれど曲を聴いていて時々気がそれる。例えば、マルタ・アルゲリッチがショパンで鍵盤を力強く叩くときのあのプロレスラーのような二の腕のぷるぷるするお肉とか、アルフレッド・ブレンデルの指先の絆創膏を見て、はがすときはどの指を遣うのだろうか…とか、マウリッツオ・ポリーニをはじめて聴いたとき、「この人は絶対に禿げる」と確信したり…まじめなファンからは後ろから蹴飛ばされそうだ。
 ボクははじめてウラジーミル・アシュケナージというピアニストを見たとき、「うわ!ちっちェ」と思った。
体の小ささとは裏腹にすごく音楽的スケールの大きい人だと言うことは後々じんわり判ってきたけれど、手の大きさはすごかったし、肩から指先までの距離が短いからリストの超絶技巧なんかあれほどすごい閃きを見せるのだろうかとか思ったりした。
 今は指揮者としてのイメージが強いアシュケナージはロマンティックな音色のピアニストだけれど、それだけにモーツアルトの短調のピアノ曲を弾かせるとすごく叙情的で美しかった。レコードから聴き始め、CDも手に入れた演奏にモーツアルトのピアノ協奏曲第24番がある。ハ短調だ。いろんな人の演奏で聴いた。クララ・ハスキルやグルダや求道者のようなブレンデルや内田さんや、なお、あのひとや、この人…
 でも、このアシュケナージの24番は録音としてすごく成功していると思う。小さなオケを弾き振りで演奏しているのだけれど、くすんだようなピアノの音色がこの曲のほの暗い印象によくマッチしている。鍵盤を叩くときの底の部分の音が気になるよりはむしろノスタルジックなこの曲ではかえって非常にいい味になっている。そして沈黙の中からはじき出されるいくつかの同じテーマがすべて微妙な音色と力のニュアンスをコントロールされているのを聴くことができる。第一楽章のオケが鳴り終わってアシュケナージのピアノが入るその入り際の第1と第2の音のロマンティックなこと!その録音は彼が次の音を指先で探すときの鍵盤上の柔らかで、しなやかなマイムのような指先の移ろいまでを雰囲気として感じることができる絶妙の間がある。
多分、それは楽譜にはなくて、それだけで楽譜至上的な例えば、「美しい演奏などというものはない。美しい曲があるだけだ。」というようなザッハリヒ(即物的)なモーツアルトファンには受け入れられないかもしれない。
 でも、残念だけどボクはフツーの人間で、楽譜を見ても自分の頭の中に音なんか鳴らない。
 だから、すごく感覚的に音楽を聴くけれど、イイ演奏はいつ聴いてもその感覚にぶれがない。これはいい演奏でいいスタジオ録音だと思います。


 
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番&第24番

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番&第24番

  • アーティスト: アシュケナージ(ウラディーミル),モーツァルト,フィルハーモニア管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2003/06/25
  • メディア: CD

モーツァルト:ピアノ協奏曲全集

モーツァルト:ピアノ協奏曲全集

  • アーティスト: アシュケナージ(ウラジミール),モーツァルト,ケルテス(イシュトヴァーン),バレンボイム(ダニエル),フィルハーモニア管弦楽団,イギリス室内管弦楽団,ロンドン交響楽団,フー・ツォン
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1991/10/01
  • メディア: CD


 


 アシュケナージのイメージはこの演奏を録音したときは全集の写真に近い。上の20番と24番のカップリングはかなり晩年。
彼の20番はベートーベンのカデンツァを使っていて整った美しさがある。だけど、20番に関してはやはり、ボクはグルダの演奏が最高だと今でも思っている。これについては以前書いた。宝物を見て欲しい。


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