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室内楽の宇宙-秋のホルン [音楽]

ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調op.40


ブラームスが1865年に完成したホルン、ヴァイオリン、ピアノのための三重奏曲。
ホルンを使ったアンサンブルとしてはブラームス唯一の作品。
モーツアルトのケーゲルシュタット三重奏曲以来本格的な三重奏曲で、管・弦・鍵の異質な楽器を組み合わせて成功したのはこの作品とブラームス自身のクラリネット三重奏曲くらいではないだろうか。
この曲でのホルン・パートは現代的なバルブ付きのダブル・ホルンではなく、旧式のナチュラル・ホルンをイメージして書かれている。


ナチュラル・ホルンの欠点は構造上音階が狭い。
これはオクターブの広いロマン派や新古典主義的な音楽には大きな難点となるが、ブラームスはそれを補って余りあるこの旧式のホルン固有の柔らかで素朴な響きの美しさが欲しかったのだろうと思う。
機能的な金属管楽器では、第三楽章のアダージョ・メストにまろやかな哀しみを醸し出すための相当の苦労がいるのではないだろうか。
紹介した動画のクレヴェンガーは相当な名手だけど、ブレインやバウマンやタックウェルのようなナチュラルホルンの名手が吹いた第三楽章とではやはり説得力に差が出る。それでもクレヴェンガーのホルンはいわゆるウィンナ・ホルンというものなのだろうか、最近聴いた中ではちょっと忘れられない。
CDではパールマンはピアノがアシュケナージでナチュラル・ホルンがバリー・タックウェルという組み合わせて演奏しているのがある。
そこでのタックウェルのホルンは暮れなずむセピア色の秋の景色の中にまろやかな哀しみの影を深く染み渡らせ、心と手の置き場所をボクに示してくれる。


 



第1楽章 アンダンテ
     ヴァイオリンの奏する第1主題をホルンが受け継ぎ、やがて情熱的なヴァイオリンが弾く第2主題に移る。
         この楽章はロンド形式でアンダンテの第1主題が三度顕れる間に、第2主題(ポコ・ピゥ・アニマート)がエピソードふうに
         挿入されている。
         ピアノは出しゃばらず、背景でホルンとヴァイオリンを支える。
第2楽章 アレグロ スケルツォ 
          活発な三部形式。トリオは変イ短調の憂愁が漂うメランコリックな歌があり、スケルツォのリズミカルで明るいリズムと
          はっきりとしたコントラストが置かれている。
第3楽章 アダージオ・メスト 
           ピアノは哀しみを奏で、三部形式で対位法的にヴァイオリンとホルンが静かに滑ってゆくピアノと対話する。
           それは第3部の部分で痛切なロマンティシズムを奏で、最後は沈黙に帰る。
           最も晩秋を感じるボクの大好きな楽章。



第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ ソナタ形式。
     第2楽章や第3楽章の動機を復活させ、コン・ブリオの輝きに満ちた主題とする。快活なフィナーレ。


 


うわ、力はいった。久しぶりに。好きな曲だと長くなるね、どうも。



デニス・ブレインの芸術

デニス・ブレインの芸術



  • アーティスト: ブッシュ室内管弦楽団, BBC交響楽団, ブッシュ(アドレフ), ロンドン・バロック・アンサンブル, フィルハーモニア管弦楽団, ハルレ管弦楽団, マシューズ(デニス), ブレイン(デニス), デニス・ブレイン管楽アンサンブル, フィルハーモニア管楽四重奏団, レナー弦楽四重奏団
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1997/01/22
  • メディア: CD




 

 


 


 


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