フェデリコ・モンポウ-スペインのサティ [音楽]
そう呼ばれることがあるという。
取り上げた『内なる印象』はピアノ曲の中では最も完成が早く1914年だという。
この人、書き始めてから完成するまでが長いらしい。
全曲ピアノの自作自演を残しているという。
活躍した年代から言うとほとんどの作曲家が前衛的音楽技法に染まってゆく頃で、ボクの耳には合わなくなってくる頃だ。
表現者として抗し難い前衛への傾斜を避け、ひたすら近代和製の枠内で聴衆に寄り添う音楽を書き、そして演奏した。
作品には小節線が置かれていないものが多く、自在なテンポルバートが行われ、作曲者の演奏はその作品の典型という図式は引かれない。
『内なる印象』は、シューマン風の「エレジーⅠ~Ⅳ」から始まり、印象主義的な「ゆりかご」を経て、『秘密』はフォーレのような響きにはいる。ピアノの残響が次の音に重なる微妙な綾が幻想的であり、童話的で、遠くにかすかに手を振っている母親か恋人に呼応するような懐かしさが溢れる。
スペインのサティという呼び名は、その楽曲の近似性ではなく、どうやら近代にあって独自のスタンスを貫いたサティの生き方との共通性によるものなのかも知れない。
1.哀歌Ⅰ~Ⅳ
2.悲しい鳥
3.小舟
4.ゆりかご
5.秘密
6.ジプシー
ボクはアリシア・デ・ラローチャという福徳円満な女流ピアニストがあまり好きでない。
グラナドスに優れた演奏があり、ゴイエスカスなんかも聴いてはいるけれど、その過美な音色が好みでない。
いつかも書いたけれど、これはラローチャの責任ではなくて、レコード会社のピアノ録音の特徴らしく、たまにこの曲のように普通の響きに聞こえた時の彼女のピアノはいい。
特にこういうシンプルな曲には彼女は強い。
自作自演にはこのCD!
コメント 0