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胡同の理髪師 [Movie]

人が老いてゆく時、常に死を纏って歩いてゆく人、
纏いながらもそれを生の一部と信じ受け容れている人、
認知症によって、死の概念の持つ恐怖から解放された人………様々なタイプの人がいるけれど、この映画の中に出てくるおじいさんは、周りの移ってゆく環境の中で肩を寄り添って輪を作っていたいた友が1人また、ひとりとその輪の中から欠けていって、どこか別の世界で再び巡り会うまで、死を準備しながら生の一部として受け容れて生きている。
「人が生まれた時、その瞬間に決まっていることは死ぬと言うことだ」
それを心の中でどう処理するのか、宗教か自分の生き様か
この映画は老人の映画であり、動きはゆったりとしていて、情緒は緩やかに流れる。
優しくも穏やかに、厳しい世相の中で老いてゆく人々を93歳の現役の理髪師チンお爺さんの目線で描いてゆく。
ヘンデルの歌劇『リナルド』の名曲『Lascia Chio Pianga』(涙ながるるままに)の美しい様式に包まれた歌が滔々と流れ
死に向かう準備を死ながら生きてゆく人々を淡々と描いてゆく。
その『普通』が胸を衝く。


2008年2月9日本日公開





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