パリに生まれパリに死す [音楽]
ポール・デュカス/交響曲ハ長調
第1楽章:アレグロ・ノン・トロッポ・ヴィヴァーチェ、マ・コン・フォーコ
第2楽章:アンダンテ・エスプレッシーヴォ・エ・ソステヌート
第3楽章:アレグロ・スピリトーソ
三楽章の交響曲ハ長調(そのまんまじゃ)が正式の標題らしい。これもまた標題音楽であるととれなくはない。
ミッキーマウスとディズニーで有名な『魔法使いの弟子』の直前に書かれた作品です。
デュカスは彼自身パリ音楽院の管弦楽の教授を務めていて、その管弦楽手法にはドビュッシーなどとはまた違った豊かさとヴォリュームがある。
教えることは得意だったようで1926年からはエコール・ノルマル(音楽師範学校)の作曲科教授も兼任し、批評家としても活躍していた。
この作品はベルリオーズに形式的な範を取っている。
つまり、循環形式ってヤツ。
この作品の初演は大失敗していて、第2交響曲というのもその余波を食ったか発表されていない。
ドイツやオーストリアでもこういう埃のかぶり方はあるけれど、フランス人って徹底的にやっつけるところがあるからね。
デュカスは純粋のパリっ子で、死ぬ時もパリの空の下だった。20世紀初頭を生きた彼は作品の素晴らしさを死後にようやく再確認されたひとりだ。
芸術家って生きているうちに売れるのは難しいね。
彼自身本業?は音楽学校の先生なんだから。
第1楽章はハ長調で3和音的に上昇するヴァイオリンの第1主題と旋律的な第2主題のコントラストが素晴らしい。
第2楽章は息が長く、やや仄暗いロマンティックなアンダンテ。
フォーレがもし、交響曲をやったらこんな感じの楽章がもっとドラマティックに展開するのだと思うけれど、ちょっとこれだけ生の心が見えるような静的なロマンティシズムはフランス近代音楽にはあまりないように思う。
豊かなオーボエの響きの中に浮かんでくる弦楽の旋律は儚く美しい。
第3楽章の律動的な終曲。リュクサンブール公園も黒いスーツで颯爽と早足で抜けて行くようなリズムです。
右手にステッキ、左手に食べかけのサンドイッチを掴んでいて、なにやら学生と左手を振り回しながら議論している。そんな絵が浮かぶのがちょっと不思議ですね。
コーダは情熱的なタランテラでしょう。
埋もれ気味ですが、フランス近大を代表する曲だと思いますぞ。
デュカス:魔法使いの弟子 交響曲ハ長調
- アーティスト: オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団,デュカス,フルネ(ジャン)
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2004/03/24
- メディア: CD
デュカ:交響詩「魔法使いの弟子」交響曲ハ長調
- アーティスト: ジョルダン(アルミン),デュカス,フランス放送フィルハーモニー管弦楽団,スイス・ロマンド管弦楽団
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2003/06/25
- メディア: CD
マルティノン盤があれば他のはいらないかな。ちなみにボクがはじめて聴いたのはアルミン・ジョルダン盤でした。上のようなジャケットではなくて、ボクのは黒地に鮮やかな赤いチューリップの写真ですね。ちょっと聴いて見ようかという気にさせるジャケットでした。仏エラート盤です。
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