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メンデルスゾーン ChamberMusic-6 [音楽]

メンデルスゾーン/弦楽八重奏曲変ホ長調OP.20

第1楽章 アレグロ モデラート マ コン フォーコ
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 スケルツォ:アレグロ レジェリッシモ
第4楽章 プレスト

現在では弦楽合奏曲としてより多くのストリングスの集団によって演奏されることが多いけれど、原形は弦楽四重奏が2組合体した形式で演奏されることになっている。
ヴァイオリンが4挺、ヴィオラが2挺、チェロが2挺という形だ。
これが16歳の作品だって、とてもとても信じられない。
習作とは決して言えぬ完成された美しさと堅牢な構成を持つ。
その第1楽章低音楽器の作る雲の上を厚みの増したヴァイオリンの高音が趨る。
そのブリリアントな響き。
活き活きとした旋律線の躍動。
何とも清新な音楽と出会っているのだと思い知る。
どこにも躊躇いがなく、中途半端な思い入れがない。
形は違うけれど、これはあの交響曲第4番『イタリア』に受ける印象に似ている。
トスカニーニはこの若書きの八重奏曲にコントラバスを持ち込んで独自の版で演奏した。
原点主義のかっちかちがメンデルスゾーンのこの作品にオーケストラ弦楽合奏で挑んだ時の逸話だ。『イタリア』で超弩級の名演奏を聴かせたトスカニーニの八重奏曲はさぞや凄かったろうと思わせる。
実際のこの曲は、もっと親密な家族的な雰囲気の中で演奏されたのかも知れないけれど、第1楽章の冒頭からのこの今生まれたようなテーマの瑞々しさは図抜けている。
そして、第2楽章の荘重な気分の沈潜。
葬送行進曲であると思う。
これはベートーヴェンのエロイカ交響曲の葬送のように厳粛な中に情熱の高まりを配した素晴らしい音楽です。
音楽の起伏も似通っている。
弦楽の厚みがもっとも効果的に意識された楽章です。
第3楽章のスケルツォは細かい音形を刻んで行く独特のもので、ベートーヴェン的なスケールの舞曲ではない。
音楽は疾走感を保ちながら最後のたたみ掛けるように奔りきるプレストの速度にゆきつく。
シンフォニックであり、緊密な弦楽の織物の中を様々の表情をした風が通る。
これを聴いていると年齢とは何だろうという気がしてくる。
唯一、彼に足らないもの、それはモーツアルトの最晩年を除いてやはり共通しているものなのだが、それは年齢を積み重ねることでにじみ出てくる音楽の持つ滋味だ。

それは、夭折のこの天才に望むことではないだろう。
とにかく!
聴き終えたときの爽快感はちょっと他では味わえない。



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