変奏曲とフーガの最高峰 [音楽]
マックス・レーガー/J.S.バッハの主題による変奏曲とフーガOP.81
1904年の作品。
主題はバッハのカンタータ第128番『ただ キリストの昇天のみが』から取られており、14の性格変奏とフーガによって構成されている。
主題となるカンタータが美しく、レーガーについてまわる晦渋という表現は当たらないように思う。
彼は自ら三大B(バッハ・ベートーヴェン・ブラームス)の後を継ぐ者としての自負を持っていた。
ただ世紀末の作曲家であるが故のくすんだ色合いは隠せず、新古典からロマンティックな面も持ちあわせている。
写真を見てもわかるように、一目見には音楽家には見えない。
素顔のままシャイロック(シェイククスピア=ベニスの商人)の役ができそうな感じだね。
自尊心と豪放な性格が窺える。
暴飲暴食の果てに病死している凄絶な人生である。
玄人受けする芸術家であり、同時代の同じような立場にいたブゾーニとは親密な交流があったようだ。
弟子には20世紀初頭の大指揮者ジョージ・セルがいる。
プロコフィエフはこのレーガーの熱烈なシンパであった。
でも、この変奏曲とフーガは素人のボクが聴いても凄く美しいバランスの上に繊細さと豪快さが共存しているすばらしい作品に聞こえる。
誰にも似ていない。そこが大事だね。
オルガンの重層的な響きを主感じる部分はブルックナーを思わせるものがあるけれど、にているところがあるわけではない。
この変奏曲の詰まりも伸びもないキッチリとした構成感。
パトスとメランコリックぎりぎりの気品、痩せない曲想。
全楽句の流れの中にハッキリと嗅ぎ取ることのできるバッハの息づかいと寄り添いつつ覆い被さってゆく個性の厚さと熱さ。
間違いなく、この作曲家は変奏曲において、バッハ・ベートーヴェン・ブラームスに並び称されるべき偉容だと思う。
そして、フーガの出来もすばらしい。
ブラームスの巧みさとはまた違って、どちらかというとボクはベートーヴェンの開かれた外に向かった完結を聴いた。
対位法的手法に関しては寧ろベートーヴェンよりもバッハに近いバランスを感じる。
バッハから抜き取ったベートーヴェンを再び補完する力の大きさを十分に持っている。
渋いテーマだけれど、美しく靱い作品です。
今はかなりのピアニストがこの曲を演奏している。
ボクはルドルフ・ゼルキンのピアノやその息子のピーターの演奏を聴いた。
今かけているのは、ルドルフ・ゼルキンのものです。
レーガー;バッハの主題による変奏曲とフーガ/ハイドン;ピアノ・ソナタ第50番@ゼルキン(p)(D)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: 株式会社ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 1987/01/21
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園田高弘 若き日の軌跡III レーガー:バッハの主題による変奏曲とフーガ、その他
- アーティスト: 園田高弘,レーガー,シューマン,リスト
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