出色の10代 [音楽]
モーツァルト/交響曲第29番イ長調K.201
第1楽章 アレグロ モデラート
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 メヌエット
第4楽章 アレグロ コン スピリート
序奏部から第1主題にかかる弦楽の躍動。もう完成している。どこにも足せないし、引くこともできない豊かさと、室内楽の重層的な緻密さ。
これはもうそれまでのイタリア風序曲的な貴族向けの遊びではなく、10代にしてこの様式の頂点に近い。
開始部がトウッテイで反復されるこの凛々しさがボクは好きです。
この部分にはこだわりがあってちょっと角の取れた暖かさが包んでいる音楽の中心に意志的なものを感じたい。
ベルリンフィルは冷たすぎてドレスデンは柔らかすぎた。
やはり小編成であればウィーンフィルをまず聴きたい。
ご承知のようにウィーンフィルは今でもそうだと思うけど、ウィーン・シュターツ・カペレ(ウィーン国立歌劇場管弦楽団)の名手で構成されている。
モーツァルトの歌劇をコクピットから追い続けてきた息づかいが、楽器の中にも奏者の血の中にも踊るように残っている。
このK.201、同時期に作曲された小ト短調第25番第28番とともに後期となる1788年の3つの交響曲と肩を並べる。
管楽器はオーボエ、ホルン遠景にくすんだフォーマットを作りながら随所に弦楽の歌を辿り、アンダンテの終曲部分のオーボエの澄んだ音色がクッキリと弦楽の取り巻く風景を映す。落ち着きと気品。
騒々しいモーツァルトのイメージが、あの映画(Amadeus)以来どうしても払拭できないんだけれど、この音楽ではこの十代がどれほど音楽的に満たされていたか改めて感じ入ってしまう。
最終楽章も好きだなあ。
高低の楽器間の展開部での協奏的な部分常に弦楽の背後にホルンが線で雲のように棚引く。
躍動し駆け回るのに汗一つかかない。
ベートーヴェン以降大掛かりになり肥大したオーケストレーションが普通になってしまったけれど、ロマンティックな雰囲気を追っかけず、楽器間の距離と編み上げられたソナタ形式の約束を耳で確認してみるのに絶好の音楽です。
第1楽章
モーツァルト:交響曲第25番/第29番/第35番「ハフナー」
- アーティスト: ケルテス(イシュトヴァーン),モーツァルト,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2001/04/25
- メディア: CD
一時期モーツァルトに凝って可成り集めました。
by Silvermac (2011-06-15 21:14)
モーツァルトは大好きです。最近、CDを買うのを控えていたのに、ほしくなっちゃいました。
by パパねこ (2011-06-15 23:56)
モーツァルトの交響曲20番台では25番とならんで、29番はたしかに出色ですね。
29番は大学オケで弾いたことがありますが、4つの楽章すべてが美しいですね。
by 松本ポン太 (2011-06-16 21:33)