硬派のオタマジャクシ達 [音楽]
メトネル/ピアノ・ソナタ第6番ハ短調op.25-1『お伽話ソナタ=Sonata-Sakazka』
第1楽章 アレグロ アッバンドナメンテ(速やかに奔放に)
第2楽章 アンダンティーノ コン モート(活き活きと闊歩して)
第3楽章 アレグロ コン スピリート(速やかに、颯爽と)
ずいぶん蒸し暑くなってきて、窓を開け夜風を通しながらポツポツとデッサンを始める。
久々にメトネルを聴いた。
律儀なソナタ形式から始まるハ短調の短いソナタ。
でも、この人特有の硬いリリシズムがロマンティックな雰囲気の中を光のように直進する音楽はやがてタブレットの上から顔を上げさせる。
先端が滲むような暖かくヒューマンな感覚はなくて、ラフマニノフの技量に肩を並べつつ彼とは全く異なる超絶に感性が通って行く道を空けさせる。
第2楽章と第3楽章は切れ目なく演奏される。
アンダンテ コン モートは奔放に過ぎた第1楽章の第1主題の中に蘇り、切れのいいマーチへと変貌する。
最初の歌が一瞬火がつくけれどすぐに先端から凍ってしまう魔法にかかっているようにキラキラと青白く揮発する。
一瞬の間の後のマルチア威嚇的であるけれど、やはり熱くない。
様々な主題が明滅し、変奏形式は息が途絶えるように閉じる。
この後に書かれた『Night Wind』にあるチュッチェフの詩に基づくロマンスのような形が与えられていた作品ではないけれど、
お伽話ソナタと呼ばれるにはそれなりの素材性が感じられるはずなんだろうね。
ボクは純粋にこの切れて高速で突っ走りながら技巧の披露とはちょっと違う息づかいのあるクールなオタマジャクシが泳ぎまくるこのソナタはなかなか一度や二度ではつかまえにくいのですが、この男っぽさは好きですね。
ああ、ちょっと涼しくなったわい。
演奏はロシアの指揮者・ピアニストであるエフゲーニ・スヴェトラーノフ
この人は指揮とピアノ演奏がまるで違う。第1楽章を
Medtner: Complete Piano Sonatas, Forgotten Melodies / Hamelin
- アーティスト: Nikolay Karlovich Medtner,Marc-André Hamelin
- 出版社/メーカー: Hyperion UK
- 発売日: 1998/10/13
- メディア: CD(すんゴイ演奏です。)
Medtner: Complete Piano Sonata
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Brilliant Classics
- 発売日: 2010/12/13
- メディア: CD
Complete Piano Sonatas & Forgotten Melodies
- アーティスト: Nikolay Karlovich Medtner,Geoffrey Tozer
- 出版社/メーカー: Chandos
- 発売日: 1999/05/18
- メディア: CD
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