ブレイブハート [音楽]
Sir=チャールズ V.スタンフォード/ピアノ協奏曲第2番ハ短調op.126
第1楽章 アレグロ モデラート
第2楽章 アダージオ モルト
第3楽章 アレグロ モルト
肖像画を見るとアメリカか何処かのカレッジのトレッドかぶれのように見える。
気のいい先生。
少女マンガに出てくるイメージ。
でも、育成した作曲家はホルストやフランク・ブリッジなどイギリスのその後の音楽界を構成する重要な作曲家がたくさんいる。
ピアノ協奏曲的な作品は知るだけで4曲。そのうち第1番の協奏曲は交流のあったカミユ・サン=サーンスの作品に霊感の一部を依存しているように思えた。
もっとも充実した書法を展開するのはピアノと管弦楽のための変奏曲だろう。
この作品、第2協奏曲はもう一人交流のあったブラームスのような雰囲気も持っているけれどやはり彼独自で消化したドイツ音楽がアイルランド風の雄坤さを持っている。
第1楽章オケのトウッテイに続くピアノの和音を縫うように展開するトランペットの狩りの音が好きです。
そこからピアノは少しブラームスっぽくなりながらも、素朴な歌が厚いオーケストラと絶妙の間合いのトランペットと協奏しつつリリカルでよく歌う旋律を幾つものアレンジで呈示してみせる。
近代の作曲家が金管楽器を多用すると嵌りがちな楽器の性能によって音楽の流れを左右されるような弱みもなく、ピアノが張り切って前に出てくるような独走的なアスレティックなものでもない。
ピアノ付きの交響曲ともいえるような大きな懐がある。
中間部のチェロとクラリネットとのピアノの間を置いた絡みは美しい。
この第1楽章にはスタンフォードの美質が詰まっている。
第2楽章は少し変わっていて、緩徐楽章はピアノがあまりよく書けていない。
ピアノのアルペジオというよりグリッサンドがテーマをくり返し、弦楽の抒情的なフォーマットの上で同じテンポを繰り返す。個々ではピアノが通奏であり、管弦楽がソロである。
中間部のピアノの独白からフルートに引き継がれる旋律は美しい。
この辺りからピアノは己が役割に気づいたかのように強くなるけれど、それはやはり協奏ではなく、共奏である。
つまりブラームスっぽいね。
3日間くらい飯食ってないブラームスだ。
けなしてるんではなくて力が抜けてて重なる音の層に風の通る隙間がある。
この楽章は終わりに近づくに連れてよくなる。
第3楽章はピアノと管弦楽の序奏付き。
ピアノの勇ましいテーマに始まり、第2楽章の主題が回想される。
ホルンがブラームスのように落日に向かわず、西日を正面に受けたまま目を閉じることなく淡々と進む。
『ああ、アイルランドの作曲家なんだなあ』という感慨が初めて湧いた。
YoTubeにあったはずの第2協奏曲がすっぱりと削除されておりました。それだけではなくてピアノ協奏曲関係は全て綺麗さっぱりなくなってました。
残念ですが、第1楽章の冒頭のみ紹介。
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Six Irish Rhapsodies / Piano Concerto 2
- アーティスト: Charles Villiers Stanford,Vernon Handley,Ulster Orchestra,Margaret Fingerhut
- 出版社/メーカー: Chandos
- 発売日: 2004/01/20
- メディア: CD
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